〈11〉チャリオット
階段の下には天井の高い地下室があった。
バーブズ氏がライトのスイッチを入れると、
それは、SF好きには『宇宙の戦闘機』にしか見えない形だ。球形に近い本体の左右に一つずつ、大きな車輪のような円盤がある。円盤からは大きな板状の羽や、ジェット噴射のノズルらしきものが大量に、さまざまな方向に伸びていた。
「これは……?」
「ウィル専用の飛行機――ニックネームは〝チャリオット〟」
「専用……」
「そう、まだ若くて、マシンの操縦に人生をかけていたあの子のスキルを、最大限に発揮するための機体だよ。――操作方法が異様に複雑で、人間では、あの子にしか操縦できないといわれてるから、そういう意味の『専用』ね。あらゆるベクトルに力を加えられる設計で、どんなに急な方向転換も可能。――方向転換の際、パイロットの体にかかる負荷は、新ネット技術で相殺される」
――これが、話に出ていた『ウィル教授の専用飛行機』か。
バーブズ氏はしばらくその機体を眺めたあと、話を本題に移す。
「この中に、メイの居場所を示すデータがある。これに乗れば、メイに会いに行けるよ」
「……でも……教授にしか操縦できないんじゃ……」
「いや……操縦できないっていうのは、あくまでも
バーブズは地下室の入口の方を見上げた。
そこから賑やかな話し声が聞こえてくる――ティニと、そのロボット娘たちだ。
「任せな!」と、ティニ。
「お手伝いしますよー!」と、メンちゃん。
「私が操縦しまーす」と、ガドリニウム。
「では出発の準備に取りかかろう。ジョブ君のことも、少し強化しておいた方がいい」
バーブズ氏はそう言って、地下室の入口の方へ向かう。
「え……? 強化?」
「脳通信を使えるようにするってこと」
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