〈05〉ついて来なさい

教授は、あっさりと生還した。


重機から上がる爆炎を背にして、こちらに向かって平然と歩いてくる。


「教授!大丈夫でしたか?」と、アメリアが駆け寄る。


「問題ない。――消火を!」


もちろん本日の実験は中止だ。


消火活動は手際よく行なわれ、重機はトラックに積み込まれて、意気消沈した様子の開発担当者と共に帰っていった。


イレイザーはバラバラに破損していた――残念だ!


爆発時の計測データや重機の残骸を元にし、原因の究明がなされるが、ひとまず今日の作業は終了。


教授が、私のことをやけにジーッと見てくるな……と思っていると――


「きみ、この後……時間はあるか」


「――え?」


何かのお誘いだろうか? 採用テストの結果でも聞かされるのかな――


「――はい」


「ついて来なさい」


教授は、それだけ言って私の反応を見ることもなく、さっさと歩いて行ってしまう。


戸惑っている私を見て、アメリアが解説を加える。


「教授に気に入られましたね! よかった! これでジョブさんに決まりそうですね」




私は教授の車に乗って、行き先不明のまま、どこかに連れて行かれている。車は大型のトラックだ。


それにしても、ウィル教授はクレーンも操作できるし、新型の重機もあっさり動かしたし、何でも運転できる感じだ。


「さっきの爆発の原因は、分かりそうですか?」


私はとりあえず無難な質問をしてみた。


「…………調べてみなければ、何とも言えない」


という答えで終了。しまった! 話が膨らまなかった――


「そうですか………………あの、今からどこへ行くんですか?」


「別の現場だ」

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