タイム・シフト 黄色い線

「実は、3日後から来たんだ。」

「それは高校生の手に負える話じゃない。スクールカウンセラーとかに相談した方がいいと思う。いや、信じてないとかじゃなくて。」

-------------------------------------------------

「黄色い線の内側まで下がってお待ちください。」

 アナウンスが流れる。線路の向こうの方から電車がやってくるのが見える。

「あ、電車来たよ。」

 隣でスマホを見ている富士時に声を掛けた、その瞬間。何かに強く背中を押され、体が宙に浮いた。面前に電車が迫る。思わず目を閉じた……


「黄色い線の内側まで下がってお待ちください。」

 アナウンスが流れる。富士時に左肩を強く掴まれた。目が青く光っている。急いで後ろを振り返ると、フードを被ったあの男がこちらを見ている。まさか。と、男が突然逃げ出した。

「待ってて」

 富士時はそう言うや否や男を追って走っていった。


「黄色い線の内側まで下がってお待ちください。」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る