第101話 気の合う二人

「買ってきましたよ!」 


 勢い良くコンビニ袋を抱えた西が駆け込んできた。両手のコンビニ袋の中には缶入りの飲み物がぎっしりと詰め込まれていた。 


「カウラはメロンソーダだろ?」 


 そう言うとかなめはすばやく西から袋を奪って、その中の緑の缶を手にするとカウラに手渡した。


「なんかイメージ通りですね」 


 岡部がコーヒーを探し当てながらカウラを見つめている。


「ああ、コイツの髪の色はメロンソーダの合成色素から来ているからな」 


「西園寺、あからさまな嘘はつくな」 


 プルタブを開けながらカウラは緑のポニーテールの毛先を自分で手に取り何か納得したような顔をして缶に口をつけた。


「神前さんはコーラで良いですか?」 


 西は手にしたコーラを誠に押し付けた。思いを見透かされた誠は苦笑いを浮かべた。


 そこにトイレから帰ってきたアメリアがやってきた。


「ああ、飲み物買ってきたの?言ってくれれば私が出したのに」


 アメリアの白々しい言葉にサラとパーラが顔を見合わせる。


「なんなら今から出しても良いんだぞ」


 メロンソーダを飲みながら釣りを西から受け取っていたカウラの言葉を聞くとアメリアはそのまま背を向けた。


「どこ行くんだ?」


「コレクション整理よ」


 アメリアが出ていくがあまりにも彼女らしい言葉に誰も呼び止めることはしなかった。


「それじゃあ僕はココアで」


 全員がアメリアの方を見ていた間も飲むものに迷っていたアンはそう言って袋からココアを取り出した。


「ああ、ごめんね。アン軍曹。アメリアはこういう時はココアなのよ」 


 パーラはそう言うとアンの手からココアを取り上げた。


「パーラさん、アメリアさんに届けてあげるんですね。それなら僕が持っていきましょうか?」 


 そう言ったのは代わりにジンジャエールを手にしたアンだった。


「え?お願いできるの」 


 サラのの言葉にアンは嬉しそうにうなづいた。


「じゃあ僕も行きます」 


 釣銭を数えていた西がそう言った。立ち上がった二人は昨日と同じく楽しげな笑みを浮かべながら食堂を出て行く。


「気が合うのかな?連中」 


 かなめはそう言うと緑茶缶を袋から取り出して飲みだす。


「まあ、年も近そうだし……アン君は18歳の誕生日にうちに配属になるみたいよ」 


「そうなのか」


 パーラの言葉にカウラは関心なさそうにつぶやいた。


「アレだな……戦争法規じゃ少年兵は犯罪者だからな……司法局配下のうちがそれを破るわけにはいかねえし」


 そう言いながらかなめは缶の緑茶を飲み干した。

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