少女短編集
クロニティア
疑う少女
今日は、疑って失敗し、疑わずに失敗した愚かな少女の話をしましょう。
地球は丸く、決して永遠になど続きません。
それは人類の共通認識で、
隣近所の童女でも、易々と答えることが出来るでしょう。
しかし、それを疑い、食って掛かる少女がいました。
「地球はこんなに広いのに、果てがあるはずがないじゃない。」
彼女はそう信じて疑いませんでした。
たとえ周囲にからかわれようが、
親に叱られようが、
果てなど無いと半ば妄信的に信じ込んでいました。
しかし、馬鹿と天才は紙一重と言うでしょう。
彼女はまた才女でもありました。
月日が少女を女性へと変化させる内に
その知性と風格はみるみる頭角を表し、
遂には新興産業を牽引する若手女社長に上り詰めてしまいました。
やがて彼女は自分にかつての夢を叶えるだけの力が有ることを悟ります。
船を買い、保存食を船倉に積み、羅針盤を点検する後ろ姿。
なんとも安易な性格です。
「地球一周が約四万キロメートルらしいので、六万キロくらい進んでおけば
私の思案の証明になるでしょう。」
そうして彼女は旅立ちました。
まずは赤道通る
後はひたすら東へと進んだ彼女。
しかし、彼女には二つの多大な過失がありました。
一つは、羅針盤が少し曲がっていたこと。
二つは、少しばかりの一般常識が欠けていた事でした。
幾つかの大陸を通過し自由の国へと辿り着き、
無事船旅を終えた彼女はこう言いました。
「やっぱり果てなんてないじゃない。
だって一周したら違う国に着いたんですもの。」
そうそう、彼女にはもう一つ欠けた物が有りました。
それは、「自分の常識、思想を疑う」
という事でした。
嗤って見ている貴方、一度鏡を見てはどうでしょう。
そこに常識の欠けた人は映り込んでいませんか?
少女短編集 クロニティア @cronitia
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