十七年目のプロポーズ

白羽 操

プロローグ

 


 それは突然の事だった。

 今日は三年祭、我が家の台所や土間には近所のおばさん達が集まっていろいろと準備をしている。

 俺の生まれたこの地区では今でも「連」と呼ばれる助け合う風習が残っているので、今日もこの地区の三十三軒のうちの半分の十六軒のおばさん達が我が家に集まっているのだ。

 

 俺が庭にいると純姉さんが台所に来るように言ってきた。


「ねえ、浩史!あなたどうすんの?いつまでこうしているつもりなの、はっきりさせなさいよ。皆あんた達のことを思って心配してんだから。もういいんじゃないの」


「えぇっ話ってそれのこと。其れここで聞くの?ダメだよ皆聞いてるんだから、それに俺だけ思っていても彼女がどう思っているかなんて分かんないんだから」


「あぁあ、浩史は本当に男らしくないわね、また昔みたいになってもいいの、此処にいる人達は彼女をみんな知ってるし、もう彼女はこの地区の身内同然なんだよねぇ」


「そうだよぉ浩ちゃん、私達もあんた達の先の事を応援してんだから、大丈夫だよ」


「分かったよ、分かったから後で言うよ・・・それでいいんだろ、はっきりするからさ、本当に皆、御節介なんだから」


「浩史、違うわよ、お姉ちゃんが言っているのは今から言いなさいって事。もう待たせてあげるのは止めなさいと云う事よ、自分で今から、皆さんが見届け人をやってくれるんだから、はっきりと彼女に云ってあげなさい」






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