あの名セリフを冒頭かラストに入れて、3000文字以内の小説を書いてみよう・2♪
「オレよりモテないヤツに会いに行く」
突然幼なじみが訳の分からない事を言い出した。
「え…何、どういう事?」
「昨日いきなり、見習い女神を名乗る女が部屋に現れたんだ」
「え、部屋に⁉︎」
「ああ」
「入れたの?」
「入れたってか、いきなり現れたんだ。さっき言ったろ?」
「……うん」
「続き話していいか?」
「あ、うん。よろしく」
「ソイツが言うには、何でも『恋愛フラグ』とやらを担当してるらしいんだが、オレに割り当てられたフラグが手違いで不良品だったらしく、直ぐにポキポキ折れるんだと」
「何よ、それ……」
心当たりがあり過ぎる。美鈴は思わず溜め息を吐いた。
「それでな、本当は新しいフラグに付け替えれば良いだけなんだが、それだとソイツが上司に大目玉をくらって減給三百年とかだから勘弁して欲しいと土下座をしてくるんだ」
「勝手な言い分なのに正直者過ぎて憎めないわね」
「だろ? だけどこのままじゃオレにはなかなか彼女が出来ないから、責任とって彼女が出来るまで協力してくれるらしいんだ」
「え⁉︎ ちょ、ちょっと待って」
美鈴は慌てた声を張り上げる。
「協力って、何をする気よ?」
「具体的には、まだ何も。ただフラグ関連のミスがもう一件あって、何でもソイツのは完全に折れてんだと」
「折れてるって、それじゃまさか…?」
「このままじゃ一生独身らしい」
「可哀想…」
「まあそれでな、どうやらソイツ女性らしくて、二人をくっ付けるのが一番手っ取り早いと、さっき飛び出して行ったんだ」
「は⁉︎」
美鈴は一瞬、その言葉の意味が全く理解出来なかった。
「二人くっ付けるって…まさか慎二、その子と付き合うの⁉︎」
「いや、どうだろ? 会ってみない事には何とも」
「ゆゆゆ許さないわよ! そんな訳も分からない理由で付き合うなんて」
「どうしたんだよ美鈴、いきなりそんなに慌てて」
慎二が不思議そうな顔でキョトンとする。
「あ、私…」
いや、ある意味これは僥倖か。今までは強引な女と思われないように遠回しにしていたが、フラグが不良品という本来知り得ない情報を得られた。ならばどストライクに伝えるのみ。そうじゃないと始まらない!
「私、私ね、慎二。本当はずっと前から…」
「いやー参っちゃいました。お目当てのお宅が慎二さん家のお隣さんだったなんて。私ったらホントうっかりさん!」
そのとき二階の自室の窓がガラリと開き、ひとりの女性が現れた。
ピンクのゆるふわパーマをかけたショートボブ、白いレオタードのようなハレンチ姿のおっぱい美少女だ。
「お前、モモリーナ⁉︎ 何でここに?」
「あれ、慎二さん? 慎二さんこそ何でここに…って、キャー」
「おい、危な…っ」
窓枠から足を滑らせたモモリーナを助けようと、慎二が慌てて腕を伸ばす。そしてそのまま支えきれずに、二人一緒に倒れ込んだ。
何よコレ何よコレ何よコレ…
下敷きになった慎二の顔が、モモリーナの胸圧に押し潰されていた。
「モ、モモリーナ、苦しい…」
「わー慎二さん、すみませんっ、大丈夫ですか⁉︎」
慌てたように、モモリーナが飛び
「だ、大丈夫だけど、何でモモリーナがここに?」
「ですから私は……あっ⁉︎ もしかして美鈴さんですか?」
モモリーナが美鈴に気付き、驚いたような声をあげた。
「私、モモリーナって言います。実はですね…」
ああ、フラグ折れ女って、もしかしなくても私か……心当たりがあり過ぎて涙が出る。
「ハハ…ハ」
美鈴の口から、乾いた笑いが零れる。
目の前には、ど天然のおっぱい女神。
折れたフラグで、どないせいちゅーねん!
「我が人生に一片の恋愛フラグなし!」
なんて、言ってる場合じゃなーーーいっ!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます