テンプレとお披露目会

「やっぱり、無難に壁を登るか?」

「お前ら、ロッククライミングとかしたことあんのか?」

『『……』』

「やっぱりないな」

「だったら、どうする?」

「俺にいい考えがある。たしか下の売店にハシゴがあったはずだ。それを借りて使うのはどうだ?」

『『おお!!』』


 くだらない事で盛り上がっている皆。いや、クズ達って言い換えた方がいいだろうか。

 と言うか、いつの間にか悟まで加わっているんだけど…………。ちなみに、ハシゴの案をだしたのは悟だ。

 俺、付き合う友達間違えたかな。


「よっしゃああ!! 行くぞお前ら!!!」

『『おお!!』』


 クズ達の統率をとる悟。お前、そんなキャラじゃなくない?何があった? 別人じゃない?


「それで、教師のヤツらの動きは?」

「それなら、大丈夫だ。今ごろお酒を飲んでべろんべろんに酔ってるぜ」

「それはそれで大丈夫かと思うが…………ナイスだ!」


 悪い顔で話し合いを進めるクズ達。

 と言うか、引率する立場の先生達が酔ってどうするんだよ…………。


 そして、売店の店主に適当な理由をつけて、ハシゴを借りてから大浴場に向かった。


 さすがに、親友が犯罪を犯そうとしてるのは止めなければいけないので、とある人に連絡をいれとく。



「お前ら、心の準備はいいか?」

「ああ」

「もちろんだ」


 意気込みをいれて大浴場に入っていくクズ達。


「な!」

「おお、お前ら。そのハシゴ何に使う気だ?」


 ガラリ、と引き戸を開けると、そこには茶色の髪を後ろに束ねているジャージの女性──高木先生だ。手には竹刀を持っている。その竹刀何処にあったの、先生…………。


「くっ! …………先生! これは!」

「いや、言い訳を訊くのも阿呆らしい。全員そこになおれ!!」

「先生退いてくれ!! 俺達にはやらないといけない事があるんだ!!!」

「誰が黙って、犯罪を見逃すか!!」

「ましろ! お前だろ!バラしたの!!」

「いやーさすがに、親友が犯罪を犯そうとしてるなら、止めないとなーって」


 クズ達と高木先生との大乱闘が始まった。


 結果的に、言うと、高木先生の一人勝ちだった。

 今後、高木先生には逆らわないと俺は誓った。




「…………大丈夫か?」


 次の日、起きたら、朝までみっちり叱られた皆の死体が山積みになっていた。まあ、死んではいないけど。


「だいじょ、、ぶなわけないだろ………。この裏切り者」

「何とでも言え。まさかお前もやるとは思ってなかったぞ」

「だって、見たいじゃん……」


 パタリ、と力尽きたように倒れる悟。俺、何でこんなやつと親友なんだろう。


◇◇◇◇


「よし、行くか!」


 出掛ける時間になったら、見ての通りに元気になって復活した悟と亮平。

 なんて、単純なやつらだ。心配して損した。


「ねえ、 昨日覗きしようとしたんだって?」

「何でバレてんだ!?」

「そりゃあ、バレるよ。大浴場の前で全員正座して怒られてたら」

「覗こうとした罰で全員にお昼ご飯奢ってね!」

『『は、はい……』』


 鈴原さんにそう言われ、素直に従う悟と亮平。


 くいっ、と服が引っ張られる。


「ん、どうかした? 柊さん」


そこに居たのは、顔を少し赤くした柊さんだった。熱でもあるのかな、大丈夫かな。


「えっと、あの……。白上くんも覗こうとしたんですか?」

「え。いやいやしてないからね!?」

「そ、そうですよね、、、すみません、疑ってしまって」


 安心したのか、ほっとする柊さん。よ、よかった。誤解を生まなくて……。


「ひーちゃん簡単に信じちゃダメだよー。もしかしたら、首謀者が白上くんかもしれないよ?」

「え!? そうなんですか!?」

「いやいや!! 違うからね!? 相沢さんも変な事言わない!!」

「あははー。ごめんごめん」


クスクス、と笑いながら謝る相沢さん。本当に、やめてね………? 心臓に悪いから。


 でも、柊さんと普通に話せた。てっきり嫌われたのかと思ってたけど、よかった。




 あれから、記念公園の方に移動して、主に水族館を見て回り、最後には熱帯ドームの方にも行った。 その時も、柊さんとは普通に話せた。多分、これで仲直りできたかな。


 それで、今は────海に来ている。


「おお、結構人いるな」

「だねー。荷物置ける場所あるかな?」


晴れ晴れとした空に、どこまでも続くような白い砂浜に、晴れ渡った海。

 潮風が鼻をぬけていく。


「まあ、覗きは失敗したけど、ここで水着が見えるからな!」

「ああ、そうだな。ナンパもし放題だしな」

「最近、親友がおかしな方向に行ってて心配になるんだが」

「は? 何言ってるんだ? 俺は元からこうだぞ。おっ、来たみたいだぞ」


そう言って、悟が指をさした方向に視線を向ける。


「お待たせー! どう? 似合ってる?」

「おお! よく似合ってるぜ!」


鈴原さんは、胸元にヒラヒラが付いたピンク色のオフショルダービキニだ。

 とても似合っており、可愛らしいと思う。


「やっほー。ほら、ひーちゃん隠れてないで」

「うぅっ、人前であんまり肌を晒すのは……」


 相沢さんは白一色のクロスホルダービキニとかなり大人ぽい水着だ。

 相沢さんのダイナマイトな胸部がかなり強調されており、周りの男子の視線も釘付けだ。大人しい子って思ったんだけど、この破壊力………。


 そして、ずっと相沢さんの後ろに隠れている柊さん。


「ここまで来て何言ってるの? ほら!」


 相沢さんに強引に前にだされる柊さん。


 黒色の三角ビキニと普通の水着だ。

 相沢さんには負けるが、かなり大きい胸部がちゃんと強調されており、スラッとした美脚がとても…………いや、なんでもない。

 はっきり言おう、シンプルなのだが、破壊力がありすぎてヤバい。


「あ、あの、どうでしょうか…………」

「あ、ああ、よく似合ってると思う……」

「!?!?」


 頭部からは湯気がでており、耳まで赤く染まってしまう柊さん。

 また相沢さんの後ろに隠れてしまう。


「よしよし、頑張ったね」

「うぅぅ……」

「まあ、お披露目会は終わったし!海で泳ごー!!」

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娘からママが欲しいと言われ、親友に相談してみたら、何故か学年一の美少女がきた 南河原 候 @sgrkou

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