オオカミ少年

しゃけ猫

プロローグ 流れ着いた世界

 青が広がる海。


 白が綺麗な砂浜。


 肌をジリジリと焼く太陽。


 遠くには煌めく結晶が居座る山。



 ここは…─────
















 






「───どこだ…?!」


 いやいやいや!おかしいおかしい!どうしてこんな所に?確かに俺は船に乗っていたはず……





 ───





「さてと、次はどこに行こっかな〜♪」


 二年もの間、流浪の旅をしていた俺は、特に目的もなく船旅をしていた。


「本土は殆ど巡ったし、次はテキトーな島でも行ってみようかな?……あ、でも無人島はやだな」


 そんな感じで旅路を何となく考えていると、ぽつぽつと雨が降り出してきた。


「ん、雨だ。荒れないといいんだけど……」


 しかし願いは叶わず。

 雨は激しく、波は荒れ、風は吹き荒れそして船から投げ出されて……





 ───





 今に至る…… と。


 ふざけんじゃないよ!見た感じここ無人島っぽいしさぁ、最悪だよ!!荷物も全て流されてどっか行ったし。


 唯一残された良いことは、親の形見のスカーフが無事なことぐらいか…


「リターンが見合ってねぇよ…」


 それに、遠くに見える山も何かおかしい。登頂部からキラキラしてる何かが生えてる。いや、綺麗なんだけどさ?

 そして生き物の気配もしない。鳥の一匹や二匹は飛んでるのが普通じゃないの?


「一体どこなんだよ、ここ……」


 とても不気味な島だ。

 とりあえず何か安心出来るものはないかと辺りを見回してみると、奇妙な物を目に捉えた。


 それは一頭身の青いボディに可愛らしい動物みたいな耳、そして頭身と同じくらいの尻尾。

 そんな生物(?)がぴょこぴょこ歩いていた。


「…なにあれ」


 そいつは俺に気が付くと、こちらに近付いて来て……


「ハジメマシテ、ボクハ『ラッキービースト』ダヨ。ヨロシクネ」


 機械的な声を発して話し掛けてきた。


「あっ……」


 遭難した疲れからか、はたまた精神的なダメージからか、その物体が声を発したのを合図に俺はショックで気絶してしまった。

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