探索 編

第1話【イシス・トラベラー】

とは言ったものの、どうしようか…。

見渡す限り森だからどこに行けばいいかすらも分からない……。

んー…とりあえず、北側に行ってみようかな?


北ってこっちだっけ!!!!天才だからわかんない!!!!


…まあ、このままここで棒立ちしてても意味ないしいくしかないよね…。


ーーーーーーーー数分後ーーーーーーーー


うーん…結構進んだ気がするんだけれど、ぜんっぜん開けたところに出ないぞ…?

地図でもあればいいんだけどなぁ……

地図…地図なぁ…


昔見た漫画で、魔力を放って探知〜みたいなのしてた気がする…

でも、魔法で炎とかを飛ばす時って魔力使うけど、あの炎には感覚は無いんだよね…。


いやまて!魔法はまだ試してないぞっ…!

前世の記憶で偏見を持ってただけじゃん…。

ちょっとやってみようかな…?


「ファイヤーボー…ッ!!」


っ…あっぶな……。

よく考えたらここ森じゃん。

火事になるじゃん。

それならとりあえず、被害が少なそうな〜…


「ウォーターカッター!」


ーそう唱えると、水の刃が手から飛んでいく、透明感の強い水色の刃が、ー


いや、説明しなくていいから。


ー泡を見せながら木々をなぎ倒して行く。まるで全ての物体を斬れそうnー


いやだから説明しなくていいから!!


ー(´・ω・`)ー


あとさ!全然木々なぎ倒してないから!!なぎ倒したの1本だけだから!!!


ー…そっかぁ…(´・ω・`)ー


そっかぁって…


あれ、そっかぁって言われたけど、割と化け物では…?


いや、自惚れるなボク!!!抑えろ!!ボクの理性よ!!働け!!!


…とりあえず、放った魔力に感覚があるかだったっけ…

ないっぽいけど、当たった瞬間に変な情報が流れてきた気がするな…

この感覚を使えば地図を作れるかな?

…なんかそれっぽいことを考えながらそれっぽいことを口ずさんでみよう。


自分の中にある魔力をこう…拡散させる感じ……こう…こんな感じに練ってみて………。


「魔力拡散!」


ブワァッ…!!!



あばばばばば!!!!あたたたあたたあたままたままががががが!!!!


ーーーーーーーー1分後ーーーーーーーー


あー…うん……そりゃそうだよね……。

範囲決めてなかったせいなのか魔力がゴッソリ減ったし、情報が大量になだれ込んできたせいで記憶が飛びかける程の頭痛が襲ってきた…。


ちょっと今の自分の魔力量どうなってるかな……。


「ステータス!」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


【名前なし】(設定可能)Lv.1

HP:256 MP:527/600

STR:32 VIT:110

DEF:53 INT:530

DEX:98 AGI:132


EXP:0/250


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


…んんんんん???????

MP全然減ってないぞ…?

回復量が凄いのか…?


回復量確かめるためにもう1回範囲を決めてやってみようかな?


「魔力拡散!」


あたまいたっ!!!!………くない!!!!

っとと、その前に急いで…


「ステータス!」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


【名前なし】(設定可能)Lv.1

HP:256 MP:327/600

STR:32 VIT:110

DEF:53 INT:530

DEX:98 AGI:132


EXP:0/250


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


200も使ってる…。

これを常時使い続けるのはちょっと辛いかも…

常に表示されるミニマップみたいに出来ないかな…?


集中して……。

ゆっくり…脳に流れ込んできたやつをミニマップみたいに可視化を……。


…お!!!できた!!!!

まんまるで色がついてる!!

しかもこれ分かりやすい!!!

ちゃんとゲームみたいな感じだ!!!

天の声さん!これ、ユニークスキルみたいな感じにならないかな…?


ー頼られた!!!えっと!!えっと!!スキル【常時自動警戒】と【地図化】を獲得し、競合させ、ユニークスキル【完全地図化】を獲得しましたっ!!!ー


ナイス!でも出来ればもっとネーミングセンス頑張って欲しかった!!!


ー(´・ω・`)ー


ごめんやん。


…って、あれ、ミニマップを見た感じだと進んでたの東…。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


…そうこうしているうちに、そろそろ1分経つかな…?

ステータスはちょっと心の中で唱えてみようかな。


(ステータス…!)


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


【名前なし】(設定可能)Lv.1

HP:256 MP:600

STR:32 VIT:110

DEF:53 INT:530

DEX:98 AGI:132


EXP:0/250


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


おっできた!!!

無詠唱も出来るとは、さてはボク天才だな!!!にひひ!!!


…これって魔法なのかな…


んで、MPは〜?っと……全快!?

1分で300!?

訳わかんないよ!?

こわい!自分の才能がこわい!!!

でも、さっきは527までしか回復しなかったよね…。

…もしかして、あの時MP227くらいまで減ってたの…?


まあいいや…。良くないけど……。


さてさて!さっきの事は考えないようにして、さっそくさっき取ったミニマップを見てみようじゃないか!!!


どれどれ…!


…だめだね!!!どこを見ても全部森だね!!!

まあわかってたけどさ!どうせ無理なんだろうなって!!全然わかってたけどs…


…ん…?

なんだろ?このマーク。

白い丸と赤い丸が…赤い丸のがちょっと多いかな…?ざっと見た感じ、白丸が2つ、赤丸が6つくらい…?

ゲームだとこれ、白丸が味方で赤丸が敵だよね…。


わりと苦戦してる感じが…

嫌な予感がする。急いで助けにいこう。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


『はっ…はっ…はっ…』


「冒険者になりたてなのに…ここで死ぬのか…クソ…こんな所まで来なければよかった…」

「やだよ…しにたくないよぉ…!!」


周りには6体のレッドウルフ。どれもD級モンスターだ。

階級的には、下から【E→D→C→B→A→S→SS】

となる。

私たちはE級。それも冒険者になったばかりで戦闘経験もない。普通であれば薬草の採取くらいしか出来ないのだが…奥まで来すぎてしまい、見ての通り、レッドウルフ6体に囲まれてしまった。


私は体力が無くなり、相方は絶望しきっている。


冒険者では無い人たちからすると、D級のレッドウルフは、一体であれば子供1人でも倒せる為、E級モンスターにしてもいい…と思われがちだが、問題は群れで行動する事と、その連携力の高さから、D級の中でも屈指の強さを誇る。


もはや私たちは、この時点で"詰んでいた"




はずだった。




「ウォーターカッター!」




透き通る様な可憐な声と共に、銀髪の美しい少女が現れる。彼女が放ったであろう水刃は、いとも容易くレッドウルフ3体を切り裂いた。

知能の高いレッドウルフは、3体の屍を無視し、どこかへ走り去っていった。


私は、脅威が去り、目の前には私たちより遥かに強い人が居ることに安堵し、急激な疲れが身体を蝕み、膝をついて崩れてしまった…。


「ふおぉっ!大丈夫ですか!?」


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「は…はい………助けて頂き…ありがとう…ござい…ます………」


ほんとに大丈夫かな?この人たち、疲れきってるみたいだけど。


「えぇっと…無理はしないでね…?守ってあげるからとりあえずちょっと休んだ方がいいよ。」


「では…お言葉に…甘えさせて…休ませて……いただき…ます………」


ーーーーーーーー数分後ーーーーーーーーー


「ふう…ありがとうございます、疲れもしっかりと取れました!」


「うん、なら良かった!」


「本当にありがとうございました…!私たちに何か出来ることはありませんか…!?えっと〜…んーっと〜……」

「…そう言えば、名前はなんと言うんですか?」


…はっ!!!

かんっっぜんに忘れてたっ!!!

景色が楽しみすぎて名前のこと眼中に無かった!!!


別に前世の名前でもいいんだけど〜…

せっかくの異世界だし、海外っぽくてかっこいい名前にしたい!!


…んー…そうだなぁ……。


好きな神様と好きな事から取って…



「…ボクの名前は…イシス・トラベラーだよ!」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る