(四)

 気づいたら、僕は自宅のダイニングではなかった。見たことのない場所にいた。

 中年の女性が、僕の顔を覗き込んでいた。

「目覚めたようね」

「はい。サムのシステム、起動しています」

 隣の白衣の若い女性がタブレット端末を見ながら言った。

「おはよう、サム」

「おはようございます」

「アンナ、学習経過は?」

「良好ですよ、サトー博士」

「エラーや問題点は?」

「三日目に『ドーシン』の内部でいじめのシーンに遭遇した記録がありますね。処理については特に問題はなかったようです」


(続く)

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