シュレディンガーの消えた猫
ナツメ
序
『世界の謎.com』2021年1月13日配信記事
「キャトルミューティレーション!? 学生寮の一室で起こった不可解な死亡事件!」
2017年12月、S県にある某大学の学生寮で、女子学生の死体が見つかった。地元新聞で小さく取り上げられたこの事件だが、実は報道できない謎が隠されているという噂がある。
発見された死体の状態があまりに奇妙だったというのだ。
亡くなったEさんは胸部から腹部にかけて縦に切り裂かれていたという。だがこの事件は殺人事件として処理されていない。というのも、おかしな点が2つある。
ひとつは、凶器と思われるナイフが亡くなったEさんの右手にしっかり握られていた点。血の飛び散った範囲などから、他に犯人がいて、Eさんを殺害したあとにその手に握らせたとは考えられないのだそうだ。
そしてもうひとつは、Eさんの身体から、骨や内臓、血液に至るまで、すっかりなくなっていたという点だ。
内蔵や骨がなくなっているのは、切り裂かれた腹部を中心とした胴体の部分のみで、頭や手足は元の状態で残っていたのだという。
人間業では到底不可能な殺害方法であるがゆえに、殺人ではなく事故死と見られているらしいが、これは俗に言う、キャトルミューティレーションなのではないだろうか。
なお、同じ部屋には同学科の女子学生がいたが、心神喪失状態で発見され、今も入院中だと言う。彼女は一体何を見たのか。回復が待たれる。
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