体調が悪化

 これは二年生になってからです。

 クラスにはたくさん友達がいて、部活も楽しくて、精神的には悪くなかったと思うんです。

 でも、体は違いました。

 毎日毎日、本当に毎日、体調が悪いんです。なぜかわからないんです。

 ご飯だって食べてて、睡眠も多くはないけど少ないとも思っていなくて。

 体調が悪くなる理由が全然思いつきませんでした。

 そして私はしょっちゅう学校を休むようになりました。

 何度も病院に行きましたが原因はわかりません。でも体調が悪いのは嘘ではありません。


 そして私が体調が悪いというたびに母は言うんです。


「また!?」


 必ず、そう言います。

 心配でもなんでもなく、ただそう一言だけ。


 夜になれば父から一時間以上に説教です。


 体調を崩すのは迷惑になる。嫌われる。怒られる。


 次第に体調が悪いことがばれるのが怖くなりました。体調が悪いのを隠すようになりました。

 私は、親に隠れて早退したり、保健室で休んで、また授業を受けたり、何とか怒られない方法を見つけて頑張りました。


 そしてある時、担任の先生に言われました。


「高杉さん、このままのペースで休むとちょっと出席日数が心配……」


 と。


 私は必死で学校に行きました。

 結果、何とか出席日数は足りて、しっかり進級することができましたが。

 あの時は本当に大変でした。



 今だからあの時体調が悪かった原因について考えられることがあります。

 それは、


「心は家のストレスに慣れ始めていたが、体は限界を迎え始めていた」


 です。


 毎日毎日同じストレスを受け続けていて、大丈夫じゃないけど慣れ始めたというか。

「ああ、今日もか」

 と、心が諦め始めたというか、ある意味受け入れ始めたというか。

 バグって来たんでしょうかね。

 痛めつけられすぎて何も感じてない、みたいな。でも確実にダメージは受け続けている、って感じです。

 そして、先にSOSを出したのは体でした。

 いや、心はもうとっくにSOSを出していたのかもしれません。

 でも、私はそれを無視し続けました。


「大学を卒業するまでだから」


 小四のあの時から私は我慢すると決めたんです。

 ここであきらめるわけにはいかないんです。

 だから、私は自分の心に「大丈夫」と言い聞かせていました。


「大丈夫、あともう少しだから」


 そうやって心はある程度だませても、体は無理だったんだと思います。


 こうして私は体調を崩すたびに怒られるという、またストレスが増えました。


 そして私は気づいたら周りの誰にも体調が悪いことが言えない人になっていました。

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