私の人生を決めないで(後編)

 その時の私は何を考えていたのか。

 言われた高校に行く気はありません。なのにあんなにストレスだと言ってやらなかった勉強に手を付けました。

 もちろん、受験生なのである程度の勉強はしていましたが、それはあくまでも私の志望校に受かるためのもの。私の行きたい高校であれば成績を維持し続ければいけるのでそんなに大変なことではありません。

 しかし親の考えている高校に行くにはもはや時間は足りませんでした。


 それでも勉強をつづけました。

 夏期講習など、長期の休みはたくさん塾に行きました。

 本当にたくさんたくさん、勉強をさせられました。


 私はもう完全に親に洗脳されていました。


「逆らってはいけない」


 と。本当は「逆らうと面倒だから私が適当に聞いてあげてればいっか。機嫌とってやればいいだけだもんね、ちょろいわ」と考えていたはずでした。

 それがいつ縛られる形になったのかわかりません。

 次第にゆっくり、ぐるぐるときつくほどけないように、気が付いた時にはもう縛られてました。


 だから私は逆らおうとしませんでした。

 たった一言「なんで?」とも言えませんでした。


 そうして勉強をする私。

 一方で父は何もしません。何も言いません。


 父は私たちが起きるより前に仕事に行き、私と同じかそれより早いくらいに帰ってきていました。

 夜ならば子供と関わる時間はいくらでもあったはずです。

 なのに、全く話しませんでした。亭主関白っていうんですかね。そういう感じなところもあって。基本不愛想で。顔も結構怖いです。友達が見ても怖いって言います。

 帰ってきてビールを飲んでタバコ吸って新聞読んで競馬して宝くじして。

 そんな感じです。


 もうすでに家庭は見るからに崩壊していました。

 母も毎日怒っていて。


 私の人生はこれからどうなってしまうのか。

 ただ高校に行くだけでこんなに苦労するなんて。


 こんな毎日が続き、次第に私の体にも異変が起き始めました。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る