私の居場所
私は家が怖かったです。
私が安心して居られる場所ではありませんでした。
だから、私が安心して居られる場所はトイレとお風呂だけでした。そこなら一人でいられます。誰にも邪魔されません。
トイレは別に好きな場所だったわけではありませんが、小さな空間で一人でいられることがとてもよかったです。
お風呂はシャワーを出しながらなら泣いても誰にもばれません。
だからお風呂で毎日たくさん泣きました。
リビングは親がずっといるので、ご飯を食べるときや本当に必要な時以外は行くことを避けていました。
その空間にいると怖くて、すぐに逃げ出したくなります。凄くそわそわします。
自分の部屋は妹と一緒で、女子部屋って感じです。
弟は男なので一人部屋を与えられました。
寝るときもその部屋で、そこにお母さんも加わって、三人で寝ていました。
なので私が家の中で安心して居られる場所は本当にトイレとお風呂だけでした。
私はずっと家に帰りたくありませんでした。
家が安心して居られる場所であることがうらやましかったです。
帰りたくなる家がうらやましかったです。
自分の居場所が欲しかったです。いつでも安心して居られる場所が。
それが家なはずなんです。
今一人暮らしをしてみてよくわかります。自分が安心して居ていい場所があることがどれだけ大切なことか。
家にいても緊張しなくていいんです。誰かに怒られることもありません。何かを気にする必要もありません。
「これが普通の家なんだ」
小さな1kのアパートに、私は自分の居場所を見つけました。
一人暮らしをして初めて家というものを知った気がしましました。
一人暮らしを始めてから実家に行くと、やっぱりここは私が居たい場所じゃないと感じます。
そこは私の居たい場所じゃありません。私を縛る牢獄のようなものです。
子どもたちにとって安心できる場所はやっぱり必要です。
もちろん、それは大人も一緒だと思います。
大きくなった私は、自分で自分の居場所を作ることができます。でも、子どもは自分で自分の居場所を作ることはできません。安心できる場所を自分で用意できません。
身近にいる大人がしっかり用意してあげるしかないんです。
「ここにいていいんだよ」
という場所を。
一人暮らしを始めた今はトイレやお風呂が家の中で一番いいという感覚はなくなりました。
やっぱり私にとってトイレとお風呂は最後の逃げ場だったんだと思います。
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