第143話 オークキングとの戦い

 オークキングの槍から撃ち出された魔力砲弾が、セブンスPシールドで生み出されたD粒子堅牢シールドに命中し力比べを始める。そして、魔力砲弾を弾き返した。


「よし、予定通りだ」

 予想した通り魔力砲弾を防ぐ事ができたので、俺は満足そうな顔をする。反対にオークキングは驚いていた。


 オークキングがもう一度魔力砲弾を撃ち出そうとした時、由香里のセブンスサンダーアローが魔物の胸に命中した。大電流を流し込もうとするが、オークキングが装備している鎧が力を発揮して撥ね返す。


 千佳が真上からセブンスハイブレードを振り下ろした。オークキングは槍を両手で持って掲げ、槍の柄でD粒子の刃を受け止める。


 ガキッという鈍い音がして、セブンスハイブレードが止められた。音速を超えた事で発生した衝撃波がオークキングを襲ったが、それは鎧の力で防がれた。その時、オークキングが顔を伏せるようにしているので違和感を覚える。


 あの槍は何で出来ているんだ? そんな疑問が湧いて出るほど、トライデントは頑丈なようだった。それにセブンスハイブレードの威力を受け止めるだけのパワーを持つオークキングは手強い相手だと改めて思う。


 オークキングが千佳を狙って魔力砲弾を撃ち出す。千佳はセブンスPシールドを発動して防いだ。オークキングが顔を歪め、もう一度魔力砲弾を撃ち出す。


 その魔力砲弾もD粒子堅牢シールドによって防がれたが、シールドが点滅を始めた。アリサが薙ぎ払うようなセブンスハイブレードを横からオークキングに打ち込んだ。


 千佳に注意を向けていたオークキングは槍で受け止める事ができず、D粒子の刃がオークキングの胴体を直撃。魔導装備の鎧が、その衝撃を受け止めた。


 次の瞬間、お返しとばかりにアリサに向かって魔力砲弾が放たれた。セブンスPシールドを発動して防御したアリサだったが、悔しげな顔をする。


 それを見ていた天音がセブンスヒートシェルの準備を始めた。銅リングを投入したところで、オークキングに気付かれて魔力砲弾を撃ち込まれる。


 天音は慌ててセブンスPシールドを発動。御蔭でセブンスヒートシェルは不発に終わった。


 あの槍は本当に厄介だ。それに魔導装備の鎧も話以上に性能が良いようだ。俺は手を出そうか迷ったが、アリサから頼まれたのはオークキングを倒す方法を教えてくれというものだ。倒すのを手伝ってくれというものではなかったので、もうしばらく見守る事にした。


「魔力砲弾は五発。チャンスはもう二発の魔力砲弾を撃った後だ」

 俺が声を上げると皆が声を上げて答えた。


 声を上げた事で、オークキングの敵意が俺に向けられた。槍を構えた獣人の王が凄い迫力で走り寄ってきた。予想以上に動きが早い。俺に向かって素早く槍を突き出す。


 その槍を躱した俺は、クイントオーガプッシュをオークキングを顔に叩き付けて後ろに跳んだ。鎧の防御力は顔には及んでいなかったらしく、オークキングの顔に傷が刻まれ血塗れとなる。


 それを見た由香里が、オークキングの顔に向かってセブンスサンダーアローを放った。オークキングは慌てて跳び退き両腕で顔をカバーする。


 由香里の攻撃を防いだオークキングは、凄まじい咆哮を上げた。それを浴びた俺たちは、身体がピクッと反応する。その反応を見たオークキングが、俺に向かって魔力砲弾を二発連続で放った。


 俺はセブンスPシールドを発動。その瞬間、オークキングが俺に向かって飛び込んできた。オークキングも槍の弱点を心得ている。七発撃った後に三秒だけだが、撃てない時間が有るので接近戦に持ち込んで、アリサたちの攻撃を封じようと考えたのだ。


 二発の魔力砲弾がD粒子堅牢シールドに激突。そのシールドの横から突っ込んできたオークキングが槍を振り回す。俺をリーダーだと思ったオークキングは、俺から倒そうと考えたようだ。


 セブンスヒートシェルを撃つチャンスだったのだが、俺とオークキングが接近戦をしているので、アリサたちは撃てない。


 必死で躱して距離を取る。俺を追撃しようとしたオークキングに千佳・アリサ・天音のセブンスハイブレードが襲い掛かる。オークキングの肩・背中・脇腹に命中した三発のセブンスハイブレードの攻撃力は、魔導装備の鎧が持つ防御力を超えた。


 オークキングは弾き飛ばされ、聖堂の壁に叩き付けられた。オークジェネラルなら血を吐き出すほどのダメージを負うのだが、オークキングは平気な顔で立ち上がる。


「この化け物は、タフすぎます」

 天音が呆れたように言う。

「あの鎧が、ほとんどのダメージを吸収しているのよ。何とかしないと」

 アリサが眉間にシワを寄せて考える。


 オークキングは一番近くに居た千佳に襲い掛かった。オークキングが振り回す槍を躱した千佳は、セブンスプッシュをオークキングの顔に叩き込む。


 顔面に一撃を受けたオークキングは仰け反る。その背中に向かって、天音がセブンスハイブレードを叩き込んだ。その攻撃を鎧の力が弾き返す。


「皆、セブンスプッシュでオークキングの顔を狙って!」

 アリサの叫びが聖堂に響いた。


 俺・千佳・由香里・天音のセブンスプッシュが次々に、オークキングの顔を目掛けて撃ち込まれる。オークキングは顔を防御しながら逃げ回った。


 その間にアリサはセブンスヒートシェルの準備をしていた。天音のセブンスプッシュを避けたオークキングに向かって、D粒子シェルが撃ち出される。


 オークキングはD粒子シェルに気付いたはずだ。だが、その狙いが胸だったからだろう。避けようとしないというミスを犯した。


 胸に命中したD粒子シェルがメタルジェットを噴き出し、爆発する。爆炎と爆風が収まった時、オークキングは片膝を突いて、口から血を流していた。


 アリサたちの顔に喜びが浮かび上がる。だが、喜ぶには早かった。突然、立ち上がったオークキングがアリサに向かって飛び掛かった。


 油断していたアリサは、対応が遅れる。俺はアリサの前に飛び込んで、セブンスオーガプッシュを放つ。回転するオーガプレートは、オークキングの胸に命中して、その巨体を宙に舞わせた。


 どうやらセブンスヒートシェルの一撃で、魔導装備の鎧が機能を停止したらしい。千佳・天音・アリサがクワッドカタパルトを使いオークキングに向かって身体を投げ上げた。


 空中に投げ出されたアリサたちは、セブンスハイブレードをオークキングに叩き込む。三つのD粒子の刃がオークキングに食い込んだ。


 機能停止した鎧は切り裂かれ、オークキングの肉体もズタズタとなる。それがトドメとなった。その時、俺の内部でドクンという音がした。魔法レベル14になったのだ。


 アリサたちも誇らしそうな顔をしている。魔法レベルが上がったのだろう。

「おめでとう。とうとうオークキングを倒したな」

「ありがとうございます。グリム先生の御蔭です」

 アリサが目を潤ませて礼を言った。天音がアリサの肩を抱いて一緒に喜んでいる。


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