オニロ
龍丸文彦
第1話夢の始まり①
千葉県千葉市稲毛区にある倉庫では24時間、トラックが出入りしている。この倉庫の運営しているのは株式会社デルタである。東証一部上場企業の一つである物流会社だ。
倉庫会社では品物の管理保管を行い、トラック運転手が期限までに目的地に運送するのが多い、そしてまた一台のトラックが倉庫の敷地内に入った。
赤いキャビンの10トン、赤い文字で小菅有限運送会社と明記していた。その運転手小菅大輝はトラックを停車させ、ある男を呼んだ。
「おい、藤田くん」
その声で呼ばれた男がフォークリフトで小菅の方面に向かっていた。
「大輝さん久しぶりですね」
と男は愛想よく挨拶した。
「いやぁ~昨日は参ったよぉ、荷物が準備できてなっくてさぁ、俺ここに5時間まったよぉ。昨日、いなかったけど休み?」
「はいそうですよ、昨日まで有休とってましたから」
「へぇーいいね、ところでさぁ荷物のほうは準備できている?」
「ええもうできていますよ、持ってきましょうか」
「じゃあ、お願いねぇ、」
「はーい」
と言って藤田は荷物を取りに行った。
大型の荷物をフォークリフトで12個並べて運転手の小菅が伝票で確認した後、既に開いていたウィングの荷台に荷物入れ始めた、その際運転手の小菅も配置調整を行ていた。
「藤田くんは早いねぇ」
「ありがとうございます」
と会話を交わした後、小菅は出発し、藤田はフォークリフトでその場を去った。
午後6時、藤田は定時になったのを確認して班長の宮崎に挨拶した。
「宮崎さん、何かありますか?」
「なにもないよ」
「そうですかぁ、ではお疲れ様です。」
「お疲れ」
その後、ロッカーで着替えて、自転車でアパートに帰宅していた。
帰宅後に服を脱ぎ、洗濯機に入れ、風呂に入る。節約のため湯舟に浸かれないのでシャワーを浴び、そして洗濯機を回し、夕飯の支度した。今日の献立はもやし炒めと油揚げの味噌汁である。
食事がおわり、食器を洗い終えて、ベットに横になり、スマホで漫画を読み更けていた。眠気を感じ取り、時間を確認すると9時だったので照明を消して就寝に入った。
何気ない1日の終わりであった。
波の音が聞こえってきた。どうやら砂浜のようだ。目を開けると、雲一つない青い空があった、旅行雑誌に載ってそうな感じだった。夢だと最初は思った。でも、違和感を感じた。それは嗅覚と触覚をかんじたのだ。
大概夢は視覚によるものだが、嗅覚と触覚は感じないものである。だが、いまは違う、それらが感じ取れるのだ。いままさにそこにいるような感覚があるのだ。
その後、藤田康助は立ち上がった。見渡す限り白い砂浜とエメラルドグリーンの海と青い空が目の前に広がていた。
「よう、目覚めたか」と後ろから声をかけられた。
振り向くとそこに男がたっていた。栗色の短髪で背丈は藤田康助より若干低く左耳に黒いピアスしていた。
「ここにいるもなんだ、場所変えよう」
「どうやら状況が上手く飲み込めていないようだからなぁ」
と男はしゃべりだした。
藤田康助も男の意見に同意していた。夢とはなにか違うようなものを感じたから。
そして、男の後についっていた。
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