素敵な贈り物

@tokiwokoerumob

第1話 時の迷い子

巨大時震やクロノスメナスの出現から無事に世界を救ったアルド達。

その後は消えてしまったエデンを救うことを目標にしつつ、いつも通り困っている人を助けている。

そんな中、アルドとエイミ、リィカの三名は、たまたま立ち寄った時の忘れ物亭にて休憩を取ることにした。


マスター

「いらっしゃい。ゆっくりしていくといい。」


アルドたちは席に着くと、マスターに注文する。


アルド

「マスター、いつものミルクで」


エイミ

「私はマスターブレンド。」


リィカ

「ワタシはマスタースペシャルオイルでお願イシマス。」


マスター

「あぁわかった。」


アルド

「マスタースペシャルオイルなんてメニューにあるのか」


マスター

「あるよ。アルドも飲んでみるか。」


アルド

「いや、遠慮しておくよ(というか飲み物なのか?)」


しばらくすると注文の品が出来上がり、

アルド達はそれを堪能しながら、会話する。


エイミ

「私たち3人だけっていうのも何だか久しぶりね。アルドが私たちの時代に来て以来かしら?」


アルド

「そうだな。そしてリィカと出会って合成人間との争いに加わるようになって…。」


リィカ

「合成人間側のリーダー、ガリアードに辛くも勝利シマシタ。」


エイミ

「合成人間…。前は憎むべき相手だったのに、今は一部だけど仲間となって一緒に旅をしてる。何だか不思議だわ。」


アルド

「ああ。みんな自分の世界を守りたいっていう気持ちは同じだったからな。」


リィカ

「しかしナガラ、合成鬼竜の件で対立シタ合成人間の一派が最近不穏な動きを見せているヨウデス。」


エイミ

「確かに今でも合成人間の良くない噂を聞くわ。鬼竜をつくるほどの技術力、油断は禁物ね」


アルド

「あぁ、用心しないと…」


アルドが話している途中で、突然誰かの泣き声が2階から聞こえた。


???

「うわぁぁぁん。」


マスター

「またあの子か。」


アルド

「何かあったのか。」


リィカ

「少年の声のようデスガ。」


マスター

「あの子は最近ここに来た新入りなんだが…。」


???

「お父さーん。お母さーん。」


エイミ

「気になるわね。行ってみましょう。」


アルド

「あぁ。」


リィカ

「了解デス。」


マスター

「…。」


アルド達が2階へ向かうと泣いている少年と時の忘れ物亭の住人達がいた。


少年

「うわぁぁーん」


若者

「またこれか、どうしよう?」


「ちょっと、落ち着いてちょうだい。」


「放っておきなさい。しばらくすれば気持ちも収まるじゃろう。」


少年

「うわぁぁーん。」


おやじ

「これは参ったなあ。」


少年が泣き止まない状況の中、エイミが少年に話しかける。


エイミ

「どうしたの?お姉ちゃん達に話してみて。」


少年

「父さん…。母さん…。」


繰り返される少年の叫びに、エイミは優しい表情で語りかける。


エイミ

「そう、父さんと母さんに会いたいのね。」


そういうとエイミは少年を抱きしめ唄を歌った


エイミ

「ねむれよい子よ よい子やねむれ

 星の想いに そっと抱かれ

 人の祈りに まろくくるまり

 ねむれ ねむれよ かわいい…」


アルド

「この唄はどこかで…。」


エイミ

「エイミさんのお母サマの子守唄デス。」


少年

「うっうぅ…。」


泣き止み、落ち着きを取り戻した少年は不思議そうな表情でエイミを見つめた。


少年

「お姉ちゃんが歌ってたの聞いたことある気がする。」


エイミ

「きっとあなたのお母さんも子守唄を聴かせてくれたのね。」


エイミはアルドたちのほうを向いた。


エイミ

「ねぇアルド、私達でこの子を元の時代に返してあげることはできないかしら?」


アルド

「そうだな、マスターに相談してみよう。」


そうアルドが言った時には既にマスターは2階に来ていた


マスター

「ここには、既にお前達の時空には存在していない者も多い。それでもやるのか?」


マスターの顔はいつもより真剣だった。


アルド

「あぁ、最後まで諦めない。俺はそう誓ったんだ。」


エイミ

「えぇそうよ、この子を見過ごす訳にはいかない。」


リィカ

「ワタシも同じ気持ちデス。」


アルド達の覚悟を聞いてマスターは少し微笑む。


マスター

「フッ、お前たちならそう言うと思ったよ。」


マスター

「この子は今、時の流れの外にいるからこそ存在出来ている。むやみにこの子を色んな時代へ連れていくと、時の矛盾により消えてしまうかもしれない。」


アルド

「じゃあ一体どうしたら?」


マスター

「まずは記憶を取り戻すことだ。そうすればその子の元の時代に帰りたいという気持ちが道を切り開いてくれるだろう。」


エイミ

「この子の記憶…。そもそもこの子はどこから来たのかしら」


アルド

「リィカ、この子について何かわからないか?」


リィカ

「服装そして生地の種類からBC2万年、古代のモノと推定されマス。」


アルド

「古代か。ありがとうマスター。俺達この子の記憶を取り戻してみせるよ。」


マスター

「あぁ、その間この子の面倒は任せてくれ。」


アルド

「よし、みんなすぐに出発だ。」


謎の少年の記憶を求め古代へと出発していくアルド達を見送りながらマスターはつぶやく。


マスター

「あの子を救えるのはお前達しかいない。」


古代へ移動したアルドたち、謎の少年の情報を求め大陸の中心、パルシファル宮殿に行くことにした。


アルド

「古代といっても広いからな。ここには色んな地方の人々が奉仕しに来ることだし、あの子の手がかりがあるかもしれない。」


エイミ

「まずは手分けして行方不明の子がいないか聞いてみま…」


エイミの言葉を遮るように男の声が宮殿内に鳴り響いた。


男の声

「兵士さん、頼む!」


リィカ

「何かアッタのでショウカ? タダ事ではナイようデス。」


アルド

「様子を見に行ってみよう。」


アルド達は様子を見に行った。男は宮殿内の兵士に必死に頼み込んでいた。


「兵士さん、頼む!」


兵士

「何度も言わせるな。王様がいなくなってしまった今、我々は仕事で忙しいのだ。」


「頼むから妻を…」

兵士は立ち去り、男は肩を落とした。しかし、様子を見に来たアルド達を見つけると再び頼み込む。


「おい、あんた見たところ旅の剣士だろ?どうか妻を助けてくれ。」


アルド

「どうしたんだ?」


「ここへ妻と一緒に行く途中、変な化け物がやってきたんだ。情けないが俺では歯が立たず、化け物は妻をさらっていった。頼む、あいつまでいなくなったら俺は…」


エイミ

「なんだか突然のことだけど、どうするのアルド?」


アルド

「わかった。あんたの奥さんは俺たちが助ける。それでその化け物はどこに向かったんだ?」


「ありがとう。化け物はケルリの道の方に向かっていった。」


アルド

「ケルリの道かここからそう遠くはないな。」


リィカ

「変な化け物が気ニナリマスが、とにかくケルリの道まで急ギマショウ。」


アルド達は男の妻を助けるためケルリの道まで急ぐ。ケルリの道につくと、女性が捕まっているのが見えた。変な化け物の正体は合成人間であった。


合成人間

「オーブはモラッタ。モウ用はナイ」


古代では存在するはずのない合成人間にアルドたちは驚く。


エイミ

「何でこの時代に合成人間がいるの?でも女性が捕まっているということは、あいつが犯人で間違いなさそうね。」


アルド

「おい、その女性をはなせ!」


合成人間

「オ、オ前タチハ…。マタ私の邪魔はサセナイ。」


合成人間は武器を構える。


アルド

「考えている時間はなさそうだ。すぐに助けるぞ。」


アルド達は武器を手にとり戦った。アルド達の方が優勢だったが、相手もすぐには倒れない。


合成人間

「クッ、アレがアレバ…。ココは一先ズ撤退ダ。」


そう言うと合成人間は時の塔に向かって逃げていった。


アルド「大丈夫か?」


助かった女性は悲しげな表情だった。


男の妻

「えぇ。でもあの子の、センドの宝物が…」


リィカ

「何カ事情がアルようデスガ、ひとまず宮殿に戻リマショウ。」


ひとまずケルリの道からパルシファル宮殿に戻るアルド達。一方その頃、時の塔の最深部幻視胎のいたところでは、逃げた合成人間が何やらよからぬコトを企んでいた。


合成人間

「マサカこのオーブを再び手にスルコトがデキルトハ…。コレさえアレバ、目障りナ人間共ヲ消すコトがデキる。我々合成人間の時代を築ク時ガ来たノダ。時の遺物、十分に利用サセテモラウ。」


合成人間の言葉に反応して、活動を停止し眠っているはずの幻視胎の目が怪しく輝いた。


第2話 「ねむれよい子よ」 へ続く



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