初恋 ~ 変わらないままで ~
ハル
第1話 引っ越し
「指切りげんまん、嘘ついたら……」
幼い頃の思い出の記憶。
大好きだった初恋の相手と指切り。
彼の名前は、瀏士(りゅうし)君。
無邪気な男の子。
友達も多くて結構目立っていた。
でも、突然の引っ越し。
瀏士君は、誰にも別れを告げず保育園を後に引っ越した。
そんな私も家の都合で引っ越しをした。
もし
また逢うことが
出来るなら
あの男の子と
逢わせて下さい
「魅香(みか)ーーっ!朝だぞー」
バッと起きる私。
私の名前は、尾田切 魅香(おだぎり みか)。12歳。
父親一人で私を育ててくれた。
母親はというと、私が幼い時に両親が離婚した為、いない。
だから、正直、母親の存在は記憶に残っていない
「魅香、今日、パパ残業になりそうだから先にご飯済ませておきなさい」
「分かった」
ある日の休日。
ガーー
何処からかスケボーで滑る音がした。
辺りを見渡す私。
「こらーーっ!瀏ーーっ!」
ビクッ
怒鳴り声が聞こえ、視線を向けると、
ガーー
こっちに向かってスケボーで滑って来る人影。
「うわっ!馬鹿っ!どけっ!」
「きゃあっ!」
ドサッ
地面に転ぶ私。
ガッ
人影は止まる。
「ごめん……大丈夫?」
グイッと私の手を掴み立たせた。
「あ、うん……」
私と、そう変わらない男の子。
「大丈夫?ごめんなさいね。家の息子ったら本当ヤンチャで」
「あっ、良いんです。私もぼんやりしてたし」
「えっ!?ぼんやりしている様子なかったけど」
と、男の子は言った。
「えっ?」
「怪我してない?」と、母親と思われる女の人
「はい!大丈夫です!それじゃ失礼します」
私は帰り始める。
「ほらっ!行くわよ!瀏っ!」
「はーい」
それから2年の月日が流れ、中学2年。14歳。
「パパ、私、高校行かないから」
「えっ!?何言って……高校は出ておいた方が良い」
「でも…」
「魅香、父さんはお前を高校に行かせてあげたいんだよ。また、新しい友達も増えるし、もっと楽しい事が待っているから」
「………………」
「じゃあ、聞くが、魅香が高校に行かない理由は何だ?」
「義務教育じゃないし…働きたい。そして、パパを少しでも楽にさせてあげたいから」
「年齢的には厳しい。しかも女の子だ。だったら高校行きながらバイトするなりすれば良いんだよ。バイトでも、収入は入るし自分の働いたお金で欲しい物を買ったり、貯金だって出来る」
「それは……」
「学生の時しか出来ない経験もある。沢山体験して学んだ方が良いぞ!魅香。もう一度、よーく考えてごらん」
「…うん…分かった…」
そして、高校に行く事にした私。
中学3年になり受験生となる。
ある日の学校帰り ―――
「おいっ!瀏っ!前っ!」
「えっ!?うわっ!」
ドン ドサッ
ぶつかり地面に転ぶ私達。
「ったー」
「ってぇー…悪い大丈夫か?」
ドキン
胸が大きく跳ねた。
「あ、はい、大丈夫です。ごめんなさい…あの怪我はしてないですか?」
「いや……大丈夫だけど…むしろ、俺よりも君の方が……女の子だし」
「おーーいっ!瀏ーーっ!大丈夫かーーっ!」
「大丈夫ーーっ!じゃあ」
彼は私の前から去った。
胸のときめき
初恋の時を思い出す
ドキドキしたり
ドキッとしたり
いくつになっても
このときめきは
変わらないよね
「魅香、高校決まった直後に申し訳ないんだが、父さんの転勤が決まったんだ」
「えっ!?」
「会社には断りを入れたんだが……社長の推薦でな」
「そうか……」
「高校、かなり遠くなるんだよ。勿論、送迎しても良いが」
「大丈夫!県外じゃないんだよね?」
「ああ、県外ではない」
「パパには負担掛けれないから。それに私はパパしかいないから一緒に行くよ」
「魅香……」
「私、別の高校に行くから」
「良いのか?」
「うん!」
そして、私は行こうとしていた高校を断念した。
6月。
私は、転入生として別の高校に行く事にした。
「今日から、このクラスに……」
ガラッ
戸が開く。
「丈田 瀏士(たけだ りゅうし)、遅刻してきましたぁーーっ!先生、出席して来ましたよーーっ!」
「……丈田……お前なぁ~……」
「おっ!転入生ーーっ!」
「すまない……尾田切……」
「いいえ……」
元気な男の子。
無邪気な感じの子なのかな?
どうなんだろう?
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