第9話 登記情報提供サービス


 装備が整ったところまでで使った金額は3万5千円、最初に支給されたのが50万円だからまだ45万円以上残っている。


 1週間ごとに支給される15万円は毎週金曜日の朝に銀行口座に振り込まれるということだ。


 それでも、瞬と凛は豪快に使おうとはならず近くにあったマクドナルドで食事をした。


 「これからどうするの?」


 「ああ、まずは東京の失踪事件について調べたいかな」


 「聞き込み?」


 「うーん、どうかな警察のようなことをやってもなかなか素直に話してくれないんじゃないか?東京の失踪事件からも、もう40年以上経っているから記憶に埋もれているかもしれない」


 「じゃあ、どうするの?」


 「これかな」そう言って瞬は椅子に置いていたバッグの中から支給品のパソコンを取り出した。


 「ネットから情報?」


 「ああ、それも不動産の登記情報」


 「なるほど!それなら100年経っていても正確な情報になるかもね」


 「ただ、魔女がしっかりと登記してくれていればなんだけどね」


 「どの不動産が魔女の持ち物か分かっているの?」


 「目撃情報と地図を手掛かりにある程度までは絞っているんだ、番地の最後の枝番までは分からなかったけど、おそらくは15軒くらい検索すれば分かるんじゃないかな」


 「へえ、すごいじゃん、法学部の私でもそんなこと考えなかった」


 「そうかな?でも凛の勉強を覗き見てたからさ」


 「優秀だね」そう言って瞬の髪の毛を撫でる。


 「ばか、恥ずかしいだろ」


 「瞬、照れてるの?かわいいよ」


 それ以上は付き合わず登記情報提供サービスというウエブサイトにアクセスしてみた。



 『ただいまの時間はサービスを提供しておりません』とポップアップがあった。



 「さすがに、そんなにうまくはいかないか」


 「平日に入り直さないとだね」


 「かなー」

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