第6話 活動開始


 2人で西ヶ原の瞬の家に帰ってから少し沈黙が続いた。


 封筒の現金を確認すると50万円が中に入っていた。


 「これで高飛びしようか?」


 「ばか」


 「ごめん、巻き込んじゃったよね」


 「国家機密にあたるようなことなんじゃないの?」


 「そう思う、それもとびきり厄介なやつ」


 「どうするの?瞬」


 「言われたままにやるしかないよ、渡されたパソコンだって監視カメラや盗聴器とGPSくらいついていると思う」


 「え、そんな、恥ずかしいよそんなの」


 「そういうほうがいいんじゃない?凛は」


 「ほんとにばか」


 凛はそれっきり黙ってしまった。


 瞬は凛の細い肩をぎゅっと抱きしめる。


 「大丈夫、凛のことは絶対に俺が守るから」


 「瞬」それまでの緊張がほぐれて涙が溢れてきた。


 2人は激しく抱きしめあい、そしてベッドで愛し合った。




 次の日の朝ベッドでまだ裸で寝ている凛を起こさないように瞬はそっと起きてパソコンを開ける。


 林三佐からメールが来ていた。


 本日から午前9時に活動開始報告をすること、午後8時から午後10時の間に一日の日報を提出すること、特段の事項があったときは電話その他の手段で連絡をすることといった内容が書かれていた。


 時計を見ると7時40分だった。


 まだあと1時間眠れるなと考えてスマホのアラームだけセットしてベッドに戻る。


 凛の寝顔がかわいい。


 寝ている凛にキスをしているうちに凛は目が覚めていたのか瞬の首の後ろに手を回す。


 冷房が効いていて少し涼しい部屋にいるとお互いの体温が心地よい。


 ディープキスからお互いの体を求めあっていた。



 結局二度寝することはできずに9時になり、まず活動開始報告をする。

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