(二)-19

 男が手紙を持ち、裏手へと姿を消した、そしてしばらくすると恰幅のよい、はげ頭の男性がやってきた。

 歩きながら封を破り、手紙を取り出しながらやってきて、カウンターのところで立ち止まって手紙に目を通していた。

 男性はすぐに読み終えると、ジーノの名を呼んだ。

「お前、こいつらにビアージョ・ピエッティについて知っていることを話してやれ」

「ちょっと、待って下さい。こいつら商品じゃないんですか」

「違う」

 恰幅のいい男性は短く答えた。

 ジーノは舌打ちして、「そういうことなら」と嫌そうな顔をしながら、入口の方に歩いてきた。「来な」と僕たちについてくるよう言うと、出て行った。


(続く)

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