(二)-7

 僕は何も言わないのに事情を察してくれるなんて、なんて手際が良いんだと感心してしまった。

 アンドレアは「なんか怪しくないか?」といぶかっていた。しかし、父の居場所を知っているのは、もうあのジーノという男だけだった。だから、アンドレアの言うこともわからないこともなかったが、今はジーノの言うとおりにするつもりだった。

 食事はすぐに終わり、おなかも満たされた。夕方までまだ時間があったので、僕は店の給仕をしている女性に父のことを聞いてみたが、やはり知らなかった。この女性は一年前にこの島に来て働き始めたということなので、知らないのも無理からぬことだろう。


(続く)

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