ちちをさがして

筑紫榛名@12/1文学フリマ東京え-36

(一)

 コルシカ島のポルトペッキオを出向した三角帆の小さい船が、サルデーニャ島のポルトトレスの桟橋に到着した。渡し板が船と桟橋の間に架けられると、僕とアンドレアはその足場を踏みしめて陸地に降り立った。

 僕たちは、コルシカ島のザヴァッティーニ商会の事務所で、この島の同商会の事務所へ行くように言われ、この島へやってきたのだった。


 この港は町としては小さかった。本来なら貿易をする商会の事務所は港にあるのが通例だが、ここでは、このポルトベッキオから南東の内陸に向かった先のサッサリの町にあった。そのため僕たちは歩いてサッサリへと向かった。


(続く)

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