58話 チートスキル マスターウエポン強奪


 堕天使ベリアルの、青白い電流が流れる右手に再びゲイボルグ!


 ワタシは椅子の四つん這いの中年奴隷のリードを引っ張り!

「いくよ!!」

「ぼ! (^ω^)」

 飛ぶ!


 ベリアルはコッチにゲイボルグの刃先を向け!


「ゲイボルグ! スパークレベル10!」


 ワタシはすぐさま、中年奴隷を「ガチ!」っと玉蹴りし!

「ぼえ! (≧◇≦)」

「みぎ!」

 ピュン!

 電流を避ける!!

 立て続けに襲ってくる電流!!

「ひだり」

「みぎ」

「うえ!」

 かろうじて避ける!


 あのゲイボルグの槍の電流! エネルギー切れとか無いの!?

 一撃喰らえば動けなくなり、死ぬまで電流を喰らう!!

 てか、アイツは接近戦もむちゃくちゃ強いし!

 

 まずは、あの電流をなんとかしないと…

 避けながらベリアルの動きを観察する。

 電流を放っている時は動きが止まる…

 ワタシのムチのゴムは絶縁体…


 試しに… 危険な賭けだけど…


『S』hield !

『M』uchi !

S難度 ★★★

 ワタシの前に、ムチの円形のシールドを作ると!


 ベリアルから放たれた電流を防いだ!


 よっしゃ! これで電流を抑える事ができる!


 電流が止んだ…


 結構、間がある…


 もしかして『幻影分身』!?


 顏をそ~っとシールドムチから出すと…


 なにしてる…? あれ?


 ベリアルは空中でアグラで座り… 重ねた両手を顔の前に…

 拝んでいる? 瞑想? ゲイボルグが無い? 武具転送した!?


 急いだほうが良さそうだから!!

 カカトを振り上げ!


「前! 全力!!」

 ブ―――ン!  ガチン!!  玉蹴り!!


「ぼえええ!! (≧◇≦)」


 超高速移動!!

 瞬時に迫り!!


『S』pear!!

『M』uchi !!

S難度 ★★

 

 スピアで!! 胴体をブッ刺してやる!!


 その一瞬!!


 目を開けたベリアルに! 

 ガシン!!っと、スピアムチを掴まれ奪われた!!


 ブン!


 はやい!! 追撃蹴り!?


 パ――――ン!

「ぼえええ!! (≧◇≦)」

 蹴られた中年奴隷と共に!!


 ヒューー―――!! ドン!!


 地面に強烈に叩きつけられる!!


 うううっ…くっ…なんとか… 中年奴隷が下敷きになって助かった…


 うううっ…


 下敷きを見て、


「大丈夫か…?」


「ぼうう… (◞‸◟)zzz」


「コレ(中年奴隷)が初めて気絶? 今の打撃… なんて馬鹿げた破壊力なの?」


 上空のベリアルを見上げ、


「あの祈ってたポーズ… 3分間能力アップの『サタンの加護』か…? ムチも無くなり、中年奴隷も使えない… こりゃマジでやばいわ…」




   ~~~~~~~~~~~~~


 上空のベリアル…

 奪ったユキノのムチを顔を前に、


「サタン様の加護すげええ! 今のオレ、オーディン並みの強さだ~~!!」


 冷静になり… 


「おっと3分間だからなぁ…『ベルゼブブ』『リバイアサン』『ミノタウロス』を殺した閻魔女王、その上、電撃が通じない閻魔女王を確実に殺すために残数1を使ったんだからなぁぁ…」


 べリエルの右手に電流が… その手にゲイボルグが現れる…


「感じる…このチカラ…ゲイボルグの電流は魔力に応じて変化する…今なら『落雷チート』と化すだろう…ククク… 閻魔女王は確実に死ね…」



 堕天使ベリアルは! 天にゲイボルグの槍を掲げ!


「落ちよ!!  怒りのいかづちよ!!!」



 ピカ



 ドーーーーン!!!!


 強烈な雷が…


 ユキノに落ちた!!

 


 ベリアルは、雷の落ちたユキノを見る…

 直後、笑む…

「クククク…サタン様!! このオレが閻魔女王ユキノを殺しました!!」


 ワルキューレに化けていた時に出来た、顔の傷を触り、

「サタン様のお気に入りでしたから… 少々、手こずりました…」


 もう一度、ユキノを見下ろす…

 ユキノの体から大量の煙が…

「さすが落雷チートよく燃えるなぁぁさてと… 一応、ほかの雑魚共も始末するか…」


 黒い羽根を羽ばたかせ、ヒュル~~~っとSMXに滑空した。


 近くに着陸したベリアルを見た三体鬼ケルベロスは!

「ショウ!☆ リュウト!☆ 車の中に逃げろ!☆」

「うん!」

「ういっす!」

 慌ててSMXに入り! ドアをロック!

 ベリアルは、


「アホか? 逃がすと思うか?」

 車のサイドの下を持ち、

 軽くバッッタン…

 SMXをひっくり返した。

 タイヤが回り続ける…

 むなしい音が鳴り続ける…


 その時… ベリアルは、

「おっと…サタン様の加護の効果が切れた? まあ…もう問題ないか…てか、ひっくり返ってタイヤ回すなよ? あの赤鬼バカか? うるせえし」


 SMXと繋がった荷車の上の死にかけのワルキューレを見て、

「アレは仏体Ⅹシリーズを持っているから殺せないが… 二度と戦えない様に両腕でも斬り落としておくか」

 荷車に歩む。


 横に立ったベリアルを見つめる、

 仰向けの… 電流を喰らった事で、全身大やけどのワルキューレは…

「くっ…ベリアル…クソユキノは負けたのか…?」


「閻魔女王ごときがオレに勝てるわけないだろう? それにしても、くせえなあ…まあ、すぐ終わるから…」


 右手を落とすために、ゲイボルグの刃先を上げる…

 その時…

 ベリアルの顔を見るワルキューレ…


「ふははは…ははは…やっちゃえぇぇははは」


「恐怖で頭おかしくなった? 戦女神ともあろうモノが…」


 その一瞬…


 ベリアルの視界が遮られる…

 その首に深く…

 ヅヅー――――――…





 左手でベリアルの両目を塞いだまま…

 ワタシは聞く…


「おかわりいる?」


 返事が無いから、


 ヅヅ――――――‥


 ベリアルの首の二か所から血の噴水が出た…


 赤いんだね… 意外だわ…


 両膝をつき、うつ伏せに倒れ、小刻みに動くベリアル…


「ぼぼっごぼおぼごおぼぼぼ」


「何言ってるか分かんねえよ」


 力ない目で、振り返りコッチを見上げる…


 ワタシはベリアルを切った、タヌ吉の時の持ち物のアジ包丁を見せて、


「これ、ありがとうな… タヌ吉…」


「ぼぼんぼえ? ぼえ?」


「SMXから出る時に持って行ってて助かった… 落雷の時にコレ投げたら雷は包丁に行ってくれたわ」


「ぼおえうぇ・・・ ・ ・ぼえ・でた‥?」


「燃えてた? ははは、アレ? 車にあった発煙筒、それも持って行ってたのよ」


「ぼんな…そんんな…ぼぼ」


 ワタシは腰を下ろし、

 ベリアルの顔に顔を近づける…

 フェイストゥーフェイスして、


「閻魔女王を舐めんじゃねえ… たぬきち…」


「ユ…キィィ…ノォォ…」

 いっちょ前に睨み返しやがった…


 直後…


 ベリアルの握っていたゲイボルグは…

 スッと消えた…


 コイツは、ニヤッと笑いやがった…


 最後の抵抗で、ゲイボルグをワタシに奪われない様に、どこかに転送しやがったか?


 まあいいや。


 近くに落ちてたムチを拾い…


「おい! ケルベロス!」


 ケルベロスと4人がかりで、

 SMXを走れるように元に戻した。


「セント運転しろ、地雷の音が今聞こえた… 向こうで倒れている中年奴隷を回収した後に、地雷の音の聞こえた、あっちに向かって走らせろ」


「はい☆ ユキノ様☆」


「セント、タイヤから回しで音サポートしてくれて、サンキューね♪」


「どういたしまして☆」


 ワタシは

『S』pace

『M』uchi

 で、死にかけのベリアルを亀甲縛りにして…

 助手席に座り、


「行け」


 SMXは走る…


 その後ろで牽引される荷車の横で、


 ガン! ズズズ~~~ズズウ~~ガン~~ガン!! ズズ―――


 と、荒野を引きずられるベリアルを、

 ワルキューレは仰向けで横を向き見つめ…


「ワタシを引きずろうとした‥元大天使の…あんたがねえぇ…フッフッフ無様すぎ…ざまあみろ」



 やがて、


 最後の1本のセブンスターを吸っていた時…

 ムチからワタシの脳に情報が伝わってくる…


《《《《《

堕天使ベリアルをユキノ様が殺した事で

ベリアルの

『S』earch

『M』ania

を奪いました


『マスターウエポン(チート)』

を奪いました

今後は

どんな武器もマスターして使えます

》》》》》

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る