53話 修羅地獄四天王 サタンとモリガンと妖魔ネビロス


 アイドリングのSMX(クルマ)の中…


 運転席には青鬼ショウ、助手席に白鬼リュウト。

 後部座席には赤鬼セントと、前の2人にイジメられていたタヌキのポン吉。

 リュウトは、

 『うみねこの鳴く●にvol1』のDVDをカーナビに挿入する。

  登場人物マリアのガイダンスが流れる。


 『➤➤』ボタンを人差し指で連打するリュウトは、

「これ飛ばせないのかよ! ユキノ様が帰ってくるまでに2話を見たいのに!」

 後ろを振りむき、ポン吉を見て笑いながら、

「こら! クソタヌキ! なんとかしろや!」


「うっうん…やってみる」


 リュウト前を向き直し、

「テレビから離れろの、くだらない説明、やっと終わったか?」


 直後!!


 ブ―――――ン


 ガチャン!!


ショウ・リュウト 「うお!!」

セント 「なに!?☆」


 ポン吉の強烈な右のストレートが!! カーナビを粉砕してめり込んでいる!!


 リュウトは後ろを向き。

「てめえ!! クソタヌキ!! なにすんだ! もう見えねえぞ!」

 右ストレートをすでに戻していたポン吉の、その姿は…

 腕を組み、足を組んで座り、下を向きほくそ笑むユキノになっている…


リュウト「え? 一本杉を探しに行ったはずのユキノ様? え? あ? そうか…タヌキがユキノ様に化けやがった?」


ショウ 「リュウト…いつもユキノ様にやれらぱなっしだから、イジメて遊ぼうぜ…」

 見つめ合いニヤけた後、2人は同時に後ろを振り返り!!


「ユキノ様!! シッペだオラ!! 右手出せ!!」


 直後!!


     パ―――――――――――ン!!

   パ―――――――――――ン!!!


 超強烈なシッペが! ショウとリュウトそれぞれの頬を襲った…


「いっでええぇぇ… 目がぁぁぁ…」

「首がぁぁぁ… うぇぇぇ…」


 偽ユキノの隣のセントは、

 右の眼球が飛び出たショウと、首の脊髄が損傷し首が110度曲がったリュウトを驚いた目で、

「おい!☆ 大丈夫!?☆」


 隣の偽ユキノを見つめ…

「完全な変身…おまえ…何者?☆ 今の打撃も…ただものじゃない…☆」


 ショウの頭越しに運転席のサイドポケットにあったセブンスターとライターを取って、火を付けた偽ユキノは吸い吹かしながら、


「ふう~~地獄の番犬、最強魔獣三頭のケルベロスも、分離して3人の人間になったらカス野良犬ね…ワタシはサタン」


「サタン…?☆ 声まで完全にユキノ様とは☆」


「ふう~~ このタバコ不味いわ…」


 偽ユキノは前に身を乗り出し、ショウの飛び出た眼球に…


「うえぇぇぇ!」

 ジュ~~ 丁寧にタバコを消す。


 座り直し、セントを見つめ、


「おまえ…車を運転できるでしょ?」


「うん…☆」


 偽ユキノは前の2人に、

「おい‥野良犬二匹ケルベロス…今からモリガンとワルキューレを殺しに行く…その次は……閻魔女王…オマエラ二匹、一言も変なこと喋んなよ? 確実に死ぬぞ? 今のシッペ全然、本気出してないしね」


「うん…ぁぁうん」

「ういっすぅぅ…命だけはぁぁ」


 偽ユキノは運転席のショウの髪の毛をブチブチっと掴み!


「また痛いのやっだぁぁ~~!」


「青タキシードのおまえ… ケルベロスの左の頭だよね?」


「うん…殺さないで…」


「嗅覚探知でワルキューレを探れ…」


「うん…」


 ドアを開けて、くんくん…すると…


 後方を指差し、


「臭いにおい…あっち…戻る…」


「よし、車から出ろ…あそこの岩陰に用意している車がある。 乗り換える」


 偽ユキノとセントと、ボロボロのショウとリュウトは出て、

 近くの岩陰にあった白のパジェロに乗る。

 重症のショウとリュウトは後部座席でグテっと倒れる…


 助手席に座った偽ユキノは、

 ハンドルを握ったセントを下から伺うように笑み見つめながら、


「なんかお前だけ無傷ってアレだよね…? 仲間と同じ様にシッペしてやろうか?」


 セントはキラキラな眼差しで見つめ返し、

「サタン…☆」


「なに?」


「ケルベロスを見くびるな…☆ 殺るならさっさと殺れよ☆」


「その輝いた目…どうやら、おまえは後ろのカス野良犬と違う? フフ、まあいい…飛ばせ、安心しなさい車はATだから」



 SMXを置いたまま、パジェロは走り出す…



 

  ~~~~~~~~~~~



 ワタシは中年奴隷に乗り、岩の頂上に着いた…

 タヌ吉の言ってた神聖なエナジー??


 なにも感じねえし…


 てか、遠くに公道見えてるし、一本杉なんて無いし…


 あっ…


 向こうに… むちゃくちゃ多い、数万規模の軍勢がこっちに進んできている…


 『N』の旗がある? 妖魔ネビロス…か…?


 このままじゃ…


 ケルベロスの乗るSMXと、ネビロス軍が鉢合わせになるわ。

 ネビロスの軍は戦車まであるし、早くなんとかしなくちゃね…

 ワタシはSMXに戻るため、四つん這いの中年奴隷の首輪のリードを引っ張って、


「ぼう? (^ω^)」


「降りるよ… SMXに帰ったら、嘘つきタヌキを問いたださなきゃね…」


 その時…


 タ――――ン


 餓鬼地獄で聞き覚えのある音が…


「地雷?」


 タタタ――――ン タタ―――ン


「ネビロス軍がたくさんの地雷を? タヌ吉は… SMXの進行方向の地雷原を知っていたはず…? あのタヌキ完全に怪しいわね…早く戻ろう」




 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 ネビロス軍勢


 兵が、灰色のウールリッチのフード服を深く顏に被った四天王ネビロスを負傷兵の下へ案内する…


「ネビロス様! これが全ての地雷のケガ人です!」


「死者はいないのだな?」


「はい! お願いします!」


 ネビロスは地雷で足が無くなった兵に触れ、


細胞復元フルボッキ…」


 兵の足はムクムクっと生え始める…

 周りの兵は、


「すげえ…負傷兵の足が治ったよ…もう元気に動いているし」

「あれが…我らの王であり、修羅地獄四天王ネビロス様…さすが『S』uper『M』ax級の『細胞復元回復フルボッキ』…ネビロス様しか持っていないエキストラチート…」

 

 ネビロスはケガ人全てを回復ボッキさせ…

 進行方向の地雷原を見て、


「はやく閻魔女王に会わなければならんのに、地雷原とはな…サタン…そして…あのモリガンは危険すぎる…双方とも…閻魔女王が太刀打ちできるレベルではない…」


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