50話 修羅地獄
空港のあったアリアドネの街を出た…
走るハイウエイ…
《ブ――――――!!》
前を走る
ちっ…つくづく… うぜえ女…
普通、こんな状況で… ツーシート買うか?? 人の金で??
ワタシは咥えタバコを外に捨て、窓を閉める。
🚗=======🚙🚬======
先行するフェアレディZを運転するワルキューレは黒い胸のあての中をまさぐり、
「セントくんは助手席~~♪」
取り出した小さなクマのぬいぐるみ(話し相手)を前向きに助手席に置いた。
バックミラーに映るSMXを見て、
「ちっ遅いわね…なんであんなトロイ車なんて買うかな~…あ?」
前に標識が
『 サタン軍のテリトリー ⇦ ⇨ パズス軍のテリトリー 』
ワルキューレは左にハンドルを切り、
「サタン 行くっしょ♪」
ブ――――!!
🚗=====🚙===
ワタシは左のサタンテリトリーの方を走るフェアレディZを見て、
「アイツ? なぜサタンを?」
助手席の赤鬼セントが、
「いいと思う☆ サタン軍は他の四天王に比べて極端に兵の数が少ない☆ 横断はしやすいと思う☆」
アクセルをベタ踏みして、
「ならアイツ、なかなかやるじゃない♪セント、ディープキスサービスしてやれ♪」
「無理☆ 死ぬ☆」
10分後…
後部座席から…
青鬼ショウが前に身を乗り出してきて、何かを手に持って、
「これ、カーナビで見えない?」
「あん?」
ワタシはショウの手に持ったDVDディスクを見た…
案の定、『うみねこの鳴くこ●に』だよ…
「おまえ… 一応いま修羅地獄だよ? アニメなんて見てる場合か?」
「うん…でも…でも…」
ショウは哀しい顔になった…
後ろからリュウトの弱々しい声も聞こえる…
「ショウ諦めようぜ… アニメのカノン見てみたかったし…」
ちっ
しかたない…
DVDを手に取り、穴に差し込む、
「1話だけな?」
後部座席のショウとリュウトは嬉しそうに、ハイタッチ。
ショウ 「やった!」
リュウト 「カノンが見える!」
すぐに、小さな画面に向かって目を輝かせる… 昭和かよ…
女の子が画面に出てきて、
《 テレビは離れてみましょう 》的な説明した。
「マリア!? ユキノ様! これマリア!! 頭のおかしい子供!!」
後ろからハイテンションな声が…
その時!!
前のフェアレディZが!!
急ブレーキ!!
ワタシも! キキーーーーーー!!
ハンドルを切りながら止める!!
「なんだ!?」
すぐに前のフェアレディZはゆっくりと動き出した??
え??
犬?? が横切った?? 茂みに入った…
あ? 狸が消えた茂みの方をよく見たら、道路の脇に人が倒れてる?
前のフェアレディZは
ブ――――――――!!
と加速して走り出す!!
「アイツ! ひき逃げかよ! いちおうアレでも女神なのに!?」
仕方ないから、急いでドアを開けて、はねられた人の元へ歩む、
「大丈夫ですか?」
痩せた白髪の老人だ。
なんかまんま北斗の種もみジジイみたいな感じ…
「うっうっ…赤い車に跳ねれらてしもうた…乳首がいたい…」
まいったなぁ… アリアドネの街に戻ってケガ人を運ぶか…
だけど、色々と難しくなるよね…
ひき逃げ
ここはサタンのテリトリーだし… むむむ…
悩んだ末に、
「セント、このオジサンを病院に連れて行くわ」
セントは耳に口を近づけ小声で、
「このオジサン☆ 見た目も世紀末で不自然だし☆ どう考えてもあやしいよ☆」
「んなこと分かってるけど…あ? サーチマニアだ?」
「それ☆」
ワタシはジジイにサーチマニアしてみる…
魔王ベルゼブブが、ただの人間にサーチマニアなんてしてないだろうし、情報が無ければ病院に連れて行こう。
ワタシはジジイの肩にムチを当てる…
え? ワタシの脳に情報が…
《《《《
『S』earch
『M』ania
化けタヌキ
LV 3
HP 10
攻撃 7
防御 5
速さ 4
魔力 5
スキル
『変化(弱)』
ドロップアイテム
【アジ包丁】
化けタヌキの個人情報
サタンの配下の1匹。今まで手柄が全くなく
》》》》
なんだよこれ…
こんなのに騙されかけたのか… ワタシ…
ブチ!!
「うっ…やっ…やめてぇぇ…しん…じゃう~~…」
その時…
ボワ~~~ン
はい、狸に戻りました。
まんま信楽焼の狸やん…
落とした『アジ包丁』を手に取り、
「これ没収な?」
「え? うん…」
蹴り、倒れた狸をニーハイブーツでグリグリ踏みつけ、
「車に乗れ」
「うん…」
拉致る。
狸が後部座席に乗ると、
「ぼ~? (^ω^)」
後ろの荷物置き場にいた中年奴隷が狸に興味を示しだし…
狸は後ろをのぞき込み、急に顔が青ざめる…
「なんだ? このきたない変態は…? もう壊れてる?」
ワタシは嬉しそうな中年奴隷の
「中年奴隷が嬉しそう? おいおい、狸おまえドSかよ? 弱いクセにうける~」
ショウとリュウトも、自分より弱い敵を見つけたせいか、
狸に挟んで乗り、
ショウ 「おい狸! なまえは!?」
リュウト 「さっさと言えよ! 名前だよ! 名前~!!」
流れるリクエストのアニメを気にもかけず、急にイキる…
お前ら、ある意味ダサすぎだろ…
リュウトなんて、狸との戦闘力の差けっこう微差だぞ…
狸は震えながら、涙目で、
「ポン吉です… どうか逃がしてください…」
完全イキりモードのリュウトが狸の頭をポンっと叩き、
「情報吐けよオラァア! 大魔王サタンのよ~~! くされゴミタヌキがー!!」
うわあ リュウト… 本当にださぁぁ
さっきまで、しょうもないアニメに目を輝かせてたクセに…
てか名前聞いてたけど覚える気もないだろ… 2人とも…
まあ… 弱い犬ほどよく吠えるって言うしね…
「吐いたら殺されちゃうし、僕みたいな下っ端の情報なんて知れてますし…だけど、サタンは… 想像を絶する恐ろしさと強さなんです…グス」
ワタシはいじめられている狸の頭に手を伸ばしナデナデして、
「サタンに会わない様に道案内でいいから教えて、絶対にワタシがサタンから守ってあげる」
「本当? おねえさん! ボク…サタン・メンバーから抜けたかった…御飯もロクに食べれなかったし…」
「ごはんもお腹いっぱい食べさせてやるからね」
ワタシとセントはSMXの前に乗る。
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