45話 夜魔ナイトメア


 目覚めた!?


 ううっ… 冬? さむい…さむい…

 なんか通る人達が… 皆、薄着のワタシを冷たい目で… 見てるぅぅ…

 西郷隆盛の銅像? てことは… 上野公園?

 突然、確実ホームレスな前歯の無いこけた頬のオジサンが来た…

「新入りか?」

                       z

 違うし…


「それにしても右腕どうした? 事故か何か?」


 本当だ無い? 殺人鬼に切り落とされたの戻ってない?

 さっきのあれも… これもユメなのかな… いや…違うのかな…


 なんか全然… 頭が回らない… 

 もう… 体もフラフラで…

                           z

 急にオジサンはワタシの胸を無許可モミモミしながら、

「やわらか…やらしてくれ?奇麗なネエちゃん…右腕、無くてもぜんぜんいいから」

 ズボンのポケットからクシャクシャの1000円出してきた。

 ワタシはなぜか思い出すように胸が熱くなり…

 目の奥も熱くなり…

「ワタシを助けてくれますか…? いじめから…殺人鬼ナイトメアから…両親からも」


「よっしゃ守っちゃる」


 手を引っ張られる… テントへ…

 急に…

 どこからかヤバそうな若い3人組が来た。


「コッチ先だろうがジジイ!!」


 オジサンは、引きつった笑みで若い3人組を見て、

「すいません!」


 ワタシの肩をガシっと抱いた、デカい若い金の短髪が、その手で胸を触りながら、


「ジジイ、女きたら報告しろよ! クズが!」


「はい…うげっ!」


 オジサンへの暴行が始まる…

 死ぬよ… これ…

 ワタシも逆らったら殺されちゃうよ…



                                  z

 テントに運ばれた。

 ビリヤード台があり、寝かされる…

 注射を持ってきて… すぐに左手に射ってきた…


 もう終わり…


 ワタシ 超ヘタレだし…


 若い男3人の話合う声が聞こえる…

 すぐに、

 首に刃物の感触… もう怖すぎて… 


「オレら愚連隊『ナイトメア』に逆らったら、どうなるか分かってる? 分かったら抜け?」


 寝ながら、横を見るとチャックを開けだした…

 その向こうの、テントの壁に「SM」の道具が見える…


 目隠し…

 サルグツワ…

 リード付きの首輪…


 ん? 


 脳裏に…


「ぼっぴゅ! (^ω^)」


 明らかな変態中年の四つん這いの姿が浮かぶ…


 誰だっけ?


 あ? 思い出したわ?


 瞬時に! 死神のキセル胸から出し!!

 チャック開けた野郎の目に思いっきりブッサス!!


「い! ちぃちょおおおうう!!!」


 すぐにナイフを取り!! 近くの2人の首にスパン!スパン!

「ううええ…」

「なっ‥うえ…」


 2人は倒れる…


 目を押さえる金の短髪のデブの首に、ナイフの先をブスリっと刺し、

「おい? おまえ誰にモノ言ってんだ?」


「ごめん…」


「抜いてやるから出せ」


「もういいって… もういいから…」


「いいから出せって」


「やめてって」


「だせ!!!」


 自分でパンツを脱がせた後に、切り取ってやった


 パチ パチ パチ パチ パチ パチ パチ


 外から拍手の音が聞こえる…

 この拍手の主は、たぶん…


 ナイトメア


 ナイフを持って、テントの外に出ると…


 多いな…?

 黒いビニール袋を被った迷彩服のナイトメアの後ろに、

 道具を持った愚連隊が20人?

 ナイトメア… さっきのホームレスジジイをオノで滅多切りにしながら、


 あの心の声が聞こえ…


 《 青春を謳歌しろ 》


 直後! 愚連隊が一斉に襲い掛かってくる!!

 うっ!! ぐぐう!!

 乗られる!!


 金属バットでボッコボッコだあああ!!

 かくじつに死ぬなコレ!!

 その時!! どこからか!!

 赤鬼セントの声!!


 《 起きて!!☆ ユキノ様!!☆ 》


 ワタシの体は宙に速く浮きあがる!!

 浮きながら!! 

 ナイトメアを左手で指差す!!


「ナイトメア! ワタシが絶対にぶっっ殺す!!」


 《 青春を謳歌しろ 》


 ナイトメアはオノを大きく振りかぶり、

 ビュン!!

 投げてきた!

 コース的確だし! 

 速いなんてもんじゃない!!

 ワタシの胸部に!! ぐっ…

 ナイトメア… また顔を隠す黒いビニールを左手で触った…

 なに…かの…癖か…? 

 

 死ぬ… や… ば…   ・ ・・   ・



 



「どわーーーー!!! ふーーふう~‥‥生きてる生きてる…」


 隣に来ていた赤鬼セントが驚いた顔で、

「大丈夫!?☆ 物凄くうなされていたから頬を何度もビンタでぶん殴った☆」


「セントありがとう… マジでヤバかったから…」


 ワタシは右手があるのを確認した後に、セントの顔を見て、


「はぁ…はぁ… セント…ナイトメア知ってるか?」


「ナイトメア?☆ 正体は不明だけど超有名☆3大魔王と同格の『S』uper『M』ax級の超危険な夜魔☆ 狙われて生きてたヤツいないらしい☆ まさか…?☆」


 ワタシは後ろを眺める…

 リュウトもショウも… 乗客全員が眠っている…

 前を見ると、スチュワーデスも眠っている…

「全員眠っている?」


 セントを見て、

「セントだけなんで起きてるの?」


 セントは目を輝かせ、

「気合☆」

 でも、すぐに目がトロンとなり、

「でも眠気ゲキやばい…☆」


 たしかに… すでにワタシも眠気が襲ってきている…

 もう一度眠れば… 死ぬ可能性大あるね…  

 気になったから、


「ワタシどれくらい眠っていた?」


「たぶん5分… でも…なかなか起きなかったから7分か8分くらい☆」


「8分? そんなもんなの?」


 後10時間50分も、この眠気の中、眠らないなんて絶対に… 無理‥‥


 席を立とうとすると、

 横のセントが、

「どこいくの?☆」


「貨物室行って中年奴隷とムチを回収すんのよ」


「無理☆ 貨物室は飛行機の横壁サイドだから外から開けるしかない☆」


「マジ?」


「マジ☆」



 こりゃヤバいわ…


 

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