25話 地獄列車


 ワタシ達は停止してあるロープウエイのゴンドラに乗る。


 箱型の無人のゴンドラ。


 中の広さは六畳くらいで両サイドに椅子があり、床は下が景観できる様に窓床… ワタシが座った直後、ブーっと鳴り、ドアが、ガタ…カチャと閉まった。

 ワタシの足元には四つん這いの中年奴隷、向かいに三体鬼《ケルベロス)が座る。

 青鬼ショウと白鬼リュウトはガサガサっと袋から『うみねこの鳴くこ●に』の漫画を取り出し、読み始めた。


 ウイーーー


 ゴンドラが動き出す…

 今まで居た、カサンドラの街を見る。

 街に未だに煙が? 火災がまだ続いている?

 イブの… あの鎖蛇は何者なの? 無差別に人の命を…

 それに…

 イブって、一体何をしにカサンドラの街に来ていた?


 ガタン


 ゴンドラが止まった。

 どうやら誰かが、後ろのゴンドラに乗車したようね。

 すぐに動き出す。


 ゴンドラは頂上を経て下る…


 下に何か灰色の動くものが見えた…魔物?? いえ魔獣??

 ワタシ達を見てる? 吠えてる??


 下の魔獣らしきモノを見てると赤鬼セントが、

「ユキノ様☆ 下のアレが気になる?☆」


「うん」


「遥か昔に、ヤバい魔物達がこの山を根城にしていたのを封じ込めてデビルマウンテンと呼ばれている☆ 下の灰色のヤツも封じ込めた魔物の一つ☆」


「そんなにヤバい魔物たちだったの?」


「『デビルマウンテン化計画』地獄史上に残る一大事業だった☆ 俺たちケルベロスもその事業の一員で参加したよ☆ ほかに天界の凄腕助っ人も18人参加した☆」


「天界の凄腕数18人? さすがにそれなら簡単だったんじゃないの?」


 セントは首を横に振った後に、

「天界の凄腕は15人殺されちゃった☆ ギリギリ成功☆ デビルマウンテンの魔物の中で一番ヤバかったのは…下でこっち見てる狼の魔獣『フェンリル』…俺達ケルベロス…いや…俺の中央の頭の牙がアイツの右足を喰いちぎった☆」


 ワタシは下のフェンリルを見て、

「なら… アレはセントを見て吠えてるのかな?」


 セントは眩しい笑顔で、

「たぶんね☆」


 下りきり、ワタシ達がゴンドラを降りると無人駅が隣にある。

 列車は8両だ。

 ワタシはセントに、

「次はどこに行くの? やっぱ列車に乗るの?」


「うん☆ 終点の地獄の迷宮ラビリンスまで行くよ☆」


 セントは時刻表を見た後に、腕時計で確認して、

「あと20分☆ あまり待たなくて良かった☆」


 

 20分経った…



 他に、ゴンドラから降りる人も無く、ワタシ達だけが列車に乗る。

 一番前の車両に入る。


< ドアが閉まります お気をつけください >


 ドアが閉まる。

 隣にセント、向かいにショウとリュウトが座る。

 ワタシの足元には四つん這い中年奴隷。


 ふ~~~っ、やっと一息つける…


 ガタガタガターーーーーー


 結構、早い


< 次はシャレコウベ~ シャレコウベ~ >


 ワタシは隣のセントに、

「終点までどれくらい?」


「4時間くらい☆」


「了解、少し眠るわ、なんかあったら起こして?」


「了解☆ おやすみ☆」



 zzzz



 目を開けた、どのくらい寝ていたのか…?

 人が無茶苦茶増えてる? いや… 骸骨に悪魔?


 横に眠りを必死のこらえるセントが居た。

 向かいのショウとリュウトは漫画読んでる。


 足元の中年奴隷は…

「( ˘ω˘)スヤァzzz」

 眠っていた。


「セント? 列車の客たち? 地獄の住人?」


「うん☆」


「だいぶカサンドラと住んでる人達変わったね?」


「バベルの塔のある地獄最深部に行けば行くほど人間が少なくなる☆」


 セントは乗客を見渡して、

「人間が少なすぎるね☆ 1人も居ない☆ バベルの塔の建築作業のために、多くの人間が最深部に運ばれたのもあるかもね☆」


「なるほどね…ちょっとトイレ行ってくるわ、トイレから帰ってきたら寝ていいよ」


「トイレ☆ 1番後ろの車両にある☆」


 1番後ろか~、一1番後ろに座るんだった…


 ワタシはムチを持って立ち上がり、後ろへ向かう。

 悪魔混みをかき分けながら…


 隣の車両に… つり革を掴む、大きなロングコートを着た青い顔の男が… ワタシを見て微笑んだ…


 キモ


 他の悪魔乗客たちもワタシをジロジロと見る…


「人間の女…?」

「久しぶりに見た…」

「まぶいなぁ…へへ胸もあるぞ」


 キモい声が聞こえる。

 サっと腰を触られた。

 ワタシは触った手を瞬時に捕まえ、手首を捻る。


「いててて!」

 骸骨かよ…?


「今度、やったら殺す」


「ごめん…」


 ワタシは後ろへ向かう…

 悪魔が無茶苦茶多い…


 トイレのある最後尾の車両に来た。

 ん?

 アレは!?


 ワタシが目の当たりにしたのは!


「どうじゃ? 気持ちいいじゃろう?」

「顔は分からんが、えい体しとんなあ?」

「こいつ、触って離さねえ…」


 中年悪魔痴漢グループに囲まれた卑弥呼メロンレデイ


「いや~ん (*´▽`*)」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る