16話 マンティ死刑


 バックするために! すぐさま!!

 ブーツのつま先でタンタンとアクセルを探しあて!

 つま先でアクセルを押し切る!


 ブ―――!!


 最後の一匹の黒人顔マンティコアは、ワタシの黒ボンデージを掴んだまま!


 助手席で四つん這いでこっちを向く中年奴隷の向こうの眺めだと50キロくらいか!?


 軽トラのバック! これ以上は出ない!

 一か八か! アクセルからブレーキにつま先を!

「いっけーーー!!」


 キュッーーーー!


 マンティコアの体は浮いて後ろへ! ワタシを掴んでいた手はキャビンの屋根に掛ったのか? ボキッっという音と共に離れた! 上からベキって音の後、荷台の方でガタン!という衝撃と音が聞こえた。


 体が自由になったワタシは改めて座ると屋根が…無くなってるよ… 屋根の上… お気に入りの座り場所だったのに…

 足元に置いていたムチを手に取り、ドアを開けようとした時… ガタンと運転席のドアも落ちた。


 ワタシは前方に回り、閻魔女王の無残な軽トラを見る… 140キロで黒人マンティを跳ねた大きな凹み、ヘッドライトも両方割れてもう使えない…それに、両方のドア、屋根、フロントガラスも無くなっちゃった、サスペンションもやれたのよね…?

 荷台に周ると、やっぱり、荷台に黒人マンティコアが…

 もはや最初の軽トラ140キロぶちかましで片足は潰れ、バックの時で片腕も潰れている。 もう動けはしない。

 黒人顔のマンティコア、ワタシに向かって、

「ガウ!! ガウ!! ガルル…ガウ!!」


 コイツら… 特にコイツ… ワタシの愛車の軽トラをこんなにしやがったのに…

 うるせえ威嚇してきやがった…


 ブチ!!


 コイツはラクには死なさない!

 ワタシは荷台の後ろのフックを外し柵を落とし、ムチを黒人マンティコアの壊れた手にクルクルと巻き付けて、


『S』trong !!

『M』uscle !!

S難度★★★★


 ズル~~ボトっと黒人マンティを荷台から引きづり落とした。

 ワタシは遠くにいるアバドンを見て、

「アバドンじゃ、すぐ死ぬから、ぬるいわね…ん?」


 遠くに餓鬼が3体タムロしていた。

「アレがいい♪ 来てくれるか?」


 ワタシは大声で、

「ココに食べれる!! 弱ったマンティコアがいるよ~!」


 食べれるという言葉に反応するように、餓鬼はコッチに歩み始めた。

 さ、

 あとは、餓鬼が死刑してくれるでしょう。


 三体鬼ケルベロスが来た。


赤鬼セント 「ユキノ様☆ 大丈夫みたいだね☆」

青鬼ショウ 「うわ…この軽トラ、酷いな???」

白鬼リュウト 「動くのかよ? これ?」


 ワタシは運転席に乗り、

「動くかやってみる」

 アクセルを踏んでみる。


 ブーーガタガタ、ブーーガタ、ブーーーー


 ケルベロスの周りを、小さく一回りし車を止め、

「まだ動く、乗れ」


 ケルベロスは荷台に乗った。

 助手席には四つん這いの中年奴隷。

 さあて、ゴールを目指しましょう!

 ワタシは、もうこの軽トラはバックミラーはもちろん、荷台との壁も無いので、後ろを振り向きセントに、

「ゴールはどっちだっけ?」


 セントはある方向を指さし

「アッチ☆」


 ワタシはハンドルを切り、セントの指さした方へ軽トラを走らせる。


 サスペンションが壊れ、ガガガっとかなり揺れる中、隣の四つん這いの中年奴隷は股間をシートの角に当てていた。

「ぼいっ…ぼっ…ぼぅっっ (*´ω`*)」


 後ろではケルベロスが話をしている。

セント 「しかしマンティコア☆ やばかった☆」

ショウ 「ユキノ様でも、けっこう手こずったからね」

リュウト 「俺たちが合体サンピーしてケルベロスに戻れば楽勝だったけどね」


 フ♪


 ケルベロス… あんな事を言ってやがる♪ ワタシはまだ本気出してないのにね。

 最後はかなりヤバかったけど、死神煙が言っていた…


 『メロン気球隊』


 とか言う敵と、後ろからの卑弥呼メロンレデイとの戦闘に備え、『S』パワーを温存していたのよ。


 その時、

 セントが後ろから顔を出してきて、

「ユキノ様☆ アレがゴール!☆」


 キラキラとした奇麗な指のさす先には…

 大きな城壁が見え始めた…

 ワタシはセントの方を向き、


「あの城壁を目指せばいいの?」


「うん☆ 城壁を俺の持ってる地獄のマスターキーで開けて入ると、『三大魔王』の一体『ベルゼブブ』の城がある☆」


「ベルゼブブ? 敵のイブ側なの?」


「中立☆」


「中立?」


「『三大魔王』の様な地獄に堕ちた人外の『S』uper『M』ax級は、地獄の鬼じゃ管理できない☆ だから自由にしている☆ まあベルゼブブに嫌われなければ攻撃はして来ないと思うよ☆」


 案内板が見えた。


『ゴールまで後1キロ』


 あと少し!!


 その時、

 城壁の上から…

 たくさんのメロンが見え始めた…




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