禁断とSM嬢 🚘地獄のSロード🚘

びしゃご

1話 死してもムチを掴む女、その女の名は閻魔女王ユキノ

――――――――――――――――――――

 ≪『S』 ロードの始まりの昼 ≫


 池袋の駅前でセブンスターに火を付ける。

 いつもの男女の警察が二人来た。

 自由にさせてよ

 こんなワタシでもちゃんと、

 オマエラの税金を払ってるタバコくらい

――――――――――――――――――――


 中学の時から、

 父さんは若年性認知症。

 母さんはリウマチで身体障害。

 智佐をイジメで自殺させて高校中退。


 ワタシが流れ着いた場所。




 SM嬢やってるユキノ20歳です。


 池袋の高級SMクラブ『ヘブンズドアー』の1番奥の部屋…。

 薄い赤色の明かりに、ラベンダーの香り、ここがワタシの場所。

 衣装はいつもの黒のボンデージ、黒のニーハイブーツ、そして、腰まで伸びる黒のロングヘアーがワタシのトレードマーク。


 ところで…


 今、ワタシの目の前にいる最近、毎日来る長時間予約の常連客…

 目隠しに、サルグツワに、首輪姿の四つん這い小太り中年奴隷、コイツ…むちゃくちゃM。


 ワタシは知りえる最高のタイミングと力で、このブタの赤く腫れあがったポンコツキン●マに追撃のムチを!


「いっけー!」


 パチ――――ン!!


「ぼっっ! うっふぉ ( ^ω^ )…ぶふん♪」


 ワタシは喜ぶ奴隷ブタを見て呟いた…

「つまらん…」


 奴隷は不思議そうに顔を上げて、

「ぼっ? ぼーじで? ('ω')」


 ワタシは中腰になり、首輪のリードをグイっと持ち上げ中年奴隷に顔を近づけ、

「これは、お店での、ごっこ遊びにしかすぎないからよ」


「ぶ~? ('ω')」


 ワタシはムチのグリップを強く握りしめ!

「地獄のSM!! それがしたい!!」


 中年奴隷は嬉しそうに、

「ぶっ! ぼっ! ぶ~~~! (≧▽≦)♬」

 歓喜。


 その時だった… 部屋に異臭が漂い始めた。

 外から男従業員の大声が!


卑弥呼ひみこの部屋から大きな煙と炎が! ガソリンで火事だ! 逃げろ!」


 卑弥呼のヤツ自殺を!? なにやってんのよ! バカ!!


 うっ、もう吸ってる…?


「ごほごほ…まずい…いしきが・ ・ ・  ・


 ムチを握ったまま、意識はフッと飛び…



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

           川

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

   ✨👀🐖


 …ん?

 目覚めると… 前には、ゆらゆら流れる川があった。

 立ち上がって川を見て、

「どこ? ここ?」


 …そうか? 三途の川?


 ワタシ死んだのかな? 着ている物は、火事の時の黒ボンデージのミニと黒のニーハイブーツ。

 右手にはムチ、左手にはリードを握っていた、リードをグイっと引っ張ると、


「ぶぴっ(^ω^)」


 首輪に繋がっていた、四つん這いでパンツ一丁、目隠し、サルグツワの中年奴隷が…

 ワタシは哀れみの眼で、薄い髪の毛を触りながら、

「そうか? お前も一緒に火事で死んだのね?」


「ぶ~? ('ω')」


 目隠しを外してやろうと、目隠しを引っ張ったけど、

「あれ? はずれない?」


 その時… どこからおぞましい声が。


 《死んだ者は死んだ後も、死んだ時の姿のままが基本…》


 ワタシはどこからかの声に、

「ええ~? じゃあコイツはずっとこのまんま? 目隠しもサルグツワも?」


 《その通りだ、でも見苦しいから白ブリーフつけた…》


「ところで声のあなたはダレ?」


 《閻魔大王じゃ、その目の見えない汚いドMも引っ張って、三途の川を渡れ》


 ワタシは黙って、中年奴隷の首輪のリードを引っ張って浅い三途の川を渡った。

 コイツまだプレー中だと思っているのかな? 中年奴隷は四つん這いのまま渡った。ルンルンと水をビチャビチャとけつを振りながら…


 ムチを欲しがってる?

 後でちゃんとってやるからね。


 渡ると…門、その上に文字が見えた。

 天国or地獄の裁判所か~? まあ入ってみる。


 四つん這いの中年奴隷のリードをグイっと引っ張り、門の中に入るとツノのある鬼たちワタシに敬礼していた。


「なに? 歓迎してんの?」


 その時!


 ドスン! ドスン! 高さ5mくらいの大きさの、見るからに閻魔大王が近づいてきて、ワタシを、おぞましいグルグル『渦巻き』の瞳で見下ろし、

「ユキノよ… 頼みがある…」


 ワタシは90度首を上げ、

「はい? なんですか?」


「地獄でクーデターが起きた」


「クーデター? 地獄で?」


「首謀者は『イブ』。 すぐにドSのオヌシが地獄に行き、地獄の秩序を取り戻すに出発してくれ、オヌシならできる。 余はここで裁判をしないとならぬ」


「でもワタシは強くないですけど」


 大きい閻魔大王は右の人差し指をワタシの頭に乗せ。呪文?


 『 チ~チンポイポイ 』


 その時、ワタシの体に信じられない程の『S』pecial?な力がみなぎる!

 リードで繋がられていた、中年奴隷にも『M』aximum?な力がみなぎる!


 閻魔大王はワタシに右手のシャクを突き出し、

「『S』パワーをユキノに渡した。 今からオヌシは閻魔女王じゃ」


 ワタシは笑みを浮かべながら閻魔大王の眼を見つめ、


「なら閻魔! これから地獄の『SM』ができるのね!」


 ワタシの言葉に、四つん這いの中年奴隷も首を上下に激しく揺らしながら、

「ぼっ!ぼっ!ぼっ! (≧▽≦)」

 歓喜。



 閻魔大王は近くにある地獄の門を指さし、

「あれも連れていくがよい…地獄の番犬魔獣ケルベロス…」


 指さした方には三つの頭部を持つ巨大で狂暴そうな狼が、

「ガルルルルウゥ・・・グルルルルゥゥ・・・」


 おぞましい姿にさすがのワタシも驚いた!

「あんなのデカすぎるし! どう扱えばいいのよ!?」


「それもそうだな… ではこれで」


 閻魔大王がケルベロスの方に手の平をかざすと、ケルベロスはモクモクと煙に包まれた。


「フフ…ケルベロスを3体の鬼にして解体する…気を付けろ…3体の鬼が合体すると元の狂暴なケルベロスに戻ってしまうぞ…」


「3体の鬼が合体ね…? 気をつけるわ」


 煙が晴れると、それぞれ色違いの赤と青と白のタキシードを着た。キラキラオーラのイケメン3人が… 鬼なのにツノは無い?


 3体の鬼はワタシに軽く一礼して、


赤鬼「セントです☆ よろしくユキノ様☆」

青鬼「ショウです…よろしくユキノ様」

白鬼「リュウトです…よろしくユキノ様」


 ワタシはイケメン3体の鬼を見つめ、

「なかなか壊したくなるイケメンね?」


 すると…

 赤鬼が青鬼の首筋をクンクンと嗅ぎ。


赤鬼「ショウ?☆ 良いにおいだな?☆」


青鬼「セント…やめてよ…みんなが見てるって…」


白鬼は、赤鬼と青鬼の肩にがばっと抱きつき、目を優しく瞑り


白鬼「二人だけずるい…オレも一緒…」


 赤鬼は白鬼を見つめ、


「分かってるって…☆ リュウトもショウもオレも元々は一心☆同体…もう惹かれ合ってる☆」



 ボーイズラブ…? まさか!? 合体って!?



「キモっ…('ω')」






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この時、まだワタシは『S』ロードの意味。

この後に死んでいった『S』の同志達の気持ちを知る由もなかった。

知ったのは最後の審判の後…

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