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キーンコーンカーンコーン、とお昼休みの終わりを告げる鐘の音がなった。
その鐘の音を聞いて、二人はかすみ先生に「ありがとうございました」とお礼を言って教室に戻った。
「お幸せに」
とそんな二人の後ろ姿にかすみ先生はそういった。
午後の授業を受けながら、みなみはずっと昔のことを思い出していた。
それから放課後の時間になっていつものようにひとみと一緒に途中まで帰って、それから自分の家でシャワーを浴びてお風呂に入って、晩御飯を食べてベットの中で眠りについたみなみはその日、とても懐かしい夢を見た。
それは、泣いている一人の子供がいる夢だった。
みなみの見ている夢の中で泣いている子は、ひとみだった。大切にしていたもの(それがなんだったのか、みなみはもう覚えてはいなかった)がなくなって、ひどく悲しんで、我慢できなくなって、泣いていた。
そんな風に泣いているひとみをみなみは友達と一緒に笑いながら見ていた。
みなみの隠している背中の後ろの両手の中にはなくなったひとみの大切にしているものが、握られていた。
それを隠したのはみなみだった。
みなみは泣いているひとみを見て、本当に楽しくて楽しくて仕方がなかった。
みなみはベットの上で目を覚ました。
そして強く、本当に強く、あのころの最低な自分のことを恨んだりした。
……泣かないで、ひとみ。
とみなみは思った。
ごめん。ごめんね。本当にごめんなさい、ひとみ。
とそんなことをベット上で涙目になっているみなみは思った。
学校に行く準備を終えたみなみがいつものひとみとの待ち合わせの場所に行くと、そこにはいつものように笑顔のひとみが立っていた。(泣いているひとみはいなかった。泣いているひとみは、今はもう、みなみの中にしかいないようだった)
ひとみはやってきたみなみをて、満面の笑顔になると、「おはよう、みなみ!」と元気にみなみに手を振ってくれた。
そんなひとみのことを見て、みなみは過去の自分のことを本当に全力で殴ってやりたい気持ちになった。
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