中編 アルベード家の指輪

 中編 アルベード家の指輪

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「この宣言は、同盟は無効!! そのケレス・アルベードは偽物です!!」


 会場に乗り込んできた主人公ちゃんは、景気よくそんなことを叫んだ。


 ふーん、ちゃんとケレスのこと見つけて連れてきたのね。

 それなりに頑張ったじゃない。


「ケレス女王が偽物だと? 誰だか知らないが……」


「ベスタ……楽にしなさいと言ったでしょ。メティスさんだったかしら、なぜそう思ったのか聞かせてもらってもいいかしら?」


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 本当は、もっと入念に準備を進める予定だった。

 でも、そうはいかない事情が出来た。

 戦争の終結?

 新王国と隣国の同盟?

 許すわけにはいかない。


「この宣言は、同盟は無効!! そのケレス・アルベードは偽物です!!」


 王国を守らなければ、そして隣国に勝たなければ。

 王子の願いを叶えなければ……


 あの偽物に、この国をつぶされるわけにはいかない。


「ケレス女王が偽物だと? 誰だか知らないが……」


 ベスタ公爵……

 女王はお飾りだといわれているし、実質的な隣国のトップ。

 それが偽物と言われて……


 まさか、王国も操り人形にしようと?

 同盟とは名ばかりで、実質的な支配。


「ベスタ……楽にしなさいと言ったでしょ。メティスさんだったかしら、なぜそう思ったのか聞かせてもらってもいいかしら?」


 え??

 呼び捨て……

 というか、なぜ偽物が上位者として。

 わからない、わからない。


 と、とにかく


「こっちにいるのが、本物だからです。これは、代々アルベード公爵が身に着ける指輪。アルベード家の血を引くものしか、身に着けることのできないものです。これが何よりの証拠です」


 ふふ、これでおしまいです。

 偽物であることさえ証明すれば……

 証明すれば……


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 イリスは本当に想像の斜め上を行くというか、なんというか……


 メティスはこの光景を見て、何の違和感も持たないのかしらね?

 隣国の女王がイリスって名前なのを聞いた時、もしかしてと思ったけどほんとにそうだったのね。


 新王国と隣国の女王。

 いつの間にそんなに偉くなったのかしら。


「あら? その指輪そんな効果があったのね。確認のためにつけさせてもらっていいかしら?」


「あなたのような偽物が触るなど、言語道断です。ですよねケレスさん」


「別にいいわよ。そもそも、つけてもらわないと証明にならないじゃない。」


「え?」


 まぁ、仮につけられなかったとして、そもそもこの指輪がアルベード家しかつけられないってあんまり有名じゃないし。

 隣国の女王の時と違って、証拠になるのかすら微妙ですけど。


 それとは別に、つけてもらわないと困るわ。

 ……私は、確信が欲しいし。


「持ち主の許可をもらったことですし」


 イリスの指に、何の抵抗もなく指輪がはまった。


 ……やっぱりね。

 何となく想像はついてたけど。

 今になってみればおかしかったもの。


 ただの一メイドに対する扱いではなかったし、何より偶然メイドになった子が私とそっくりって……


 そっくりだったのは偶然でしょう。

 でも、その確率が高まる原因があった。


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