二話 大好きな乙女ゲームの世界に転生したと思ったら、お先真っ暗で完全に詰んでいた件

 二話 大好きな乙女ゲームの世界に転生したと思ったら、お先真っ暗で完全に詰んでいた件


 結局顔合わせはまた今度ということになって、いったん自宅に帰ってきました。


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 大好きな乙女ゲームの世界に転生したと思ったら、お先真っ暗で完全に詰んでいた件。


 いや、マジで。

 えっと、私にどうしろと。

 なぜ神は私にこんな試練を与えたのか、前世の私はそんなに悪行を積み重ねてましたか?

 ただ、毎日のように乙女ゲーして、学校中退して、部屋に引きこもってただけじゃ……


 あー、神様。

 懺悔します。

 前世の私は堕落し、決して人に誇れはしない人生を送っていました。


 ……


 あれ、返事なし?

 こういうのって、神様出てきて「反省してるならしょうがないですね」とか言って、チートくれたりするものなんじゃないの?


 おかしい……

 って、そんなこと言って現実逃避してる場合じゃない。


 いったん落ち着こう。

 クールになるんだ私。


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 とりあえず、行動あるのみだ。

 私の前世の教訓だ。

 行動しなければ、物事は自分にとって不都合な方向に進むばかり。

 私みたいなヒキニートになりたくないし、とにかく行動あるのみだ。


「あー、お母さま」


「あら? イリス、どうしたの?」


「えーっとですねぇ」


 さて、どうやって切り出したものか。

 というかちょっと待て、もし私一人アルベード家と縁を切れたとしても、お母さんがそこのメイドなら意味がないのでは?

 前世で親のすねにかみつき、今世では親を地獄に置き去りにするのか?

 さすがにそれは……


「もしかしてまた体調がよくないのかしら? えっと、こっちにご主人様からいただいたお薬が……」


「いや、体調は大丈夫。そうじゃなくって、あの……」


 あの時気絶したのって、どう考えても前世思い出したからだからね。

 前世思い出したことの後遺症引きずる人とか見たことないし体調は、ってそうじゃなくて。


「?? ああ、ご主人様含め、倒れたことは心配はしてらしたけど、失礼だなんて思ってないから安心して大丈夫よ。ちょっと緊張しすぎちゃったかしらね」


 いや、とにかく今は私が助かることを考えよう。

 地獄から抜け出した後、お母さんを何とかして救えばいいだけだ。

 一緒に地獄に落ちたら救うも何もない。


「私、メイド向いてないんじゃないかなって……」


「そんなことないわ。あなたは私の自慢の娘だもの。それにご主人様もあなたに期待なさっているわ。体調が落ち着いたら、改めてもっとゆったりできる場所でお話がしたいですって」


「え!?」


 マジで!?

 私期待されてるの?

 ヒキニートのゲームオタクが、上級貴族のメイドとして期待されてるの?

 でもそっか、その上級貴族が、まだ小学校にも通っていないような歳の娘のために、時間を割いたんだもんな。


「それに、お嬢様もあなたと話してみたいっておっしゃっていたわよ」


 え!?

 あの傍若無人な悪役令嬢が!?


「……」


 これは、詰んだのでは?


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