第4話 王妃の願い
皆さん、こんにちは。昨日はくたくたに疲れてしまったフルールです。
どうやら私は探偵に向いていなかったようです。
今日は王様と王妃様が国民の話を聞く
通常は毎月初めに行われるのですが、今回は戦に向かう者の家族の為に特例で行われるのです。
家族は皆、不安を抱えています。皆は様々な思いを訴えます。王様は真摯に答弁され、王妃様は親身に寄り添うお言葉を添えられます。
リビティオを終えられた
「
王様に王妃様、そしてメイドや憲兵たちも一斉に抱えていた紫のパンジーを放ちました。空が一瞬紫に染まり、王妃様に続き誰もが祈りを捧げました。そして、戦に
『あなたの無事を信じて待つ』と。
翌日、いつも通り王宮にお花をお届けした帰り、王妃様にお声掛けいただきました。
「おはよう、フルール。少しお時間よろしいかしら。こちらへ来てくださる?」
「王妃様、おはようございます。何なりとお申し付けください」
「貴女にお礼を言いたかったの。昨日はあんなにたくさんのお花をありがとう。おかげで皆で祈りを捧げることができました」
「恐れ入ります。王妃様のお心遣い、とても素敵でございました」
「そう言ってもらえると嬉しいわ。皆の祈りが届くといいのだけれど······。アルブレスは昔から争い事が多く、闘争が激しくなりつつあるので心配なのです」
王妃様は悲しそうなお顔で空を見上げられました。
西の果ての国、アルブレス王国は
しかし、南の国は断固として戦には参加しないと表明したそうです。北の国は遠く、国自体があまり裕福では無いので支援は出来ないんだそうです。
「ご心中お察しいたします。私はそのあたりの情勢はよく存じませんが、戦に向かわれる皆様がご無事であられることを願うばかりです」
「そうね、私たちには祈る事しかできないのだものね······。無力さを痛感しています」
「そんな、王妃様······。そのように仰らないでください。王様と王妃様の、私たち民を想ってくださるお心はちゃんと伝わっております。ですから皆様も志願なさったのではないでしょうか」
「ありがとう、フルール。貴女は本当に優しいのですね······。そうだわ、失礼ですけど貴女今おいくつだったかしら?」
「え······っと、15になりました」
「そう、いい年頃ね。今意中の方は居るのかしら?もしまだ居ないのなら、今度のファルシオにいらっしゃいな」
「ご招待いただき嬉しいのですが、今はまだ恋などはよくわからなくて······」
「そうですか。構わないのよ、気にしないでね。私の
「お気遣い頂きありがとうございます」
「呼び止めてしまってごめんなさいね。お店もあるでしょうに、気をつけてお帰りになってね」
「はい、王妃様。それでは失礼致します」
王妃様は本当にお優しい方です。母を亡くしてから特にご配慮いただいているようで、非常にありがたい事です。私には本当のお
私には祖父母というものがなく、どういう感じなのか知りません。母は駆け落ち同然なので、実家はないようなものなので、当然祖父母に会うこともありません。父の両親は私が生まれる前に馬車の事故で亡くなったそうです。
少し寂しい気もしますが、私の周りには沢山の素敵な方が居るので、とても恵まれているんだと思います。
運命の出会い······ですか。憧れはしますが、恋や愛とはどういう感じなのかわからないので、これからゆっくり運命に出会いたいです(*´︶`*)
❀紫のアネモネ
花言葉: あなたを信じて待つ
毒性:茎を折った時に出る汁で 皮膚炎、水泡を起こすことがある。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます