第319話 家がないヒト
都心の地下鉄の駅内を歩くとミテシマウ
人々の喧騒の中、壁によりそうように、
下を向き、絶望している家のないヒト
私を含めて、誰も声もかけずに
ヒトゴミは流れて、そのヒトは絵画のように時を止めている
独りで誰も産まれてきたわけじゃない
独りで誰も生きてこれたわけじゃない
無言のそのヒトからの聴こえる叫びは
浮かれて歩くヒトビトより強烈だ
そのヒトも私もヒトゴミも
「死」以外の他にどこへ向かうのだろうか
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