第11話 突撃隊
こうして筒が無く放課後へ時間移動・・・と言うわけにはいかなかった。僕の爆弾発言と細川先生の体験談?のコンビネーションは数学が終わってもクラスの注目の話題に上がるには十分だったみたいだ。
「北村、面白かったぞ。ってかキューピットとか何だよそれ」
「キモーい。陰キャっぽい先生と意気統合するとか自分から失敗してんじゃん!」
僕からしたら、クラスで話題になったのはタイミングが良かっただけだ。うちのクラスのみんなは真面目で内気らしい。ここで勘違いするのも嫌だから、所謂陽気キャラを目指そうとも思ってなかった。話したことない人たちがどんどん来て、僕への値踏みが済んだら魔法は一瞬で溶けそうな感じもあった。
だけど、その中でも物好きな人はいるみたいだ。行間に毎回話しかけて来る男子と女子が1人ずついた。
男の方は金髪で古○任○郎みたいな鼻の高いイケメンで、三田くんと言うらしい。
女子の方は、黒髪パッツンでほっぺにキラキラのラメがついた星のシールを貼ってある小さい子だった。中村さんと言うらしい。
近藤くんと言えば、授業が終わればすぐ教室を飛び出してどこかへ行ってしまう。彼はハキハキとした輝いた目をしてるから、僕は別に心配はしてないんだけど・・・周りから見たらちょっと変人に見えるかもしれない。
せっかく話しかけてくれる人がいるんだから、わざわざこの2人を振り切ってまで近藤くんのところに行く気は無かった。
「恋のキューピット部、気になるぜ。北村と近藤はラブウォッチャー。つまり傍観者の立ち位置になりたいんだな?」
「ラブウォッチャーって・・・もっと他に良いネーミング無かったの?」
「ひどくね!?」
「横文字埋め込んで流行らせようとしてるー。瑠美的に今のは無しかなー」
中村さんもラブウォッチャーはしっくり来なかったみたいだ。確かにざっくりと端折りすぎた感があるよね。キューピットって恋を応援する的な感じでさ。
「とか言ってて僕英語苦手だし。もし外人の人が入部してきたらどうしよう」
「おお!国際恋愛か!アレか?北村の夜のお供は外人なのか?」
「ちょっとうるさいよ三田くん」
「ひどしっ!!」
「うーん。今のはわたしでも何の話かわかったよ?男だけの部なら入るの辞めようかなー」
「ちょっと待って!!!」
え?廊下から叫んでいるのは・・・まさか。
小野寺、さん・・・?
「誰だ?あの可愛い子。それも2人もっ!北村の知り合い?」
「可愛いー!!北村くん、誰?兵藤さんともう1人の、あの子ー!!」
僕は例のごとく顔を伏せていた。
『放課後まで、楽しみに待ってる』
そう言っていたじゃないか。
僕が知らぬ顔を通していると、頭を何か柔らかいものが包み込む。そして、間髪いれずに机にドンッと衝撃が走った。
「ちょっとー。こえ?恋絵!?あんまりびっくりさせちゃダメでしょ?」
「元カノの胸にうずくまってる元カレは風紀の乱れを感じる。離れて?」
顔を上げると、目の前には朱色のネクタイ、とおっぱい。そしてその横で僕の机に足を乗せてる女子がいた。スカートの中は水玉だった。
って違う違う!何?誰?どうしたのっ!?
「北村くん、来ちゃった!」
そう言ってにへらと笑う銀髪の彼女に僕は苦笑いを浮かべるしかなかった。
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