神様に与えられたのは≪ゴミ≫スキル。家の恥だと勘当されたけど、ゴミなら何でも再生出来て自由に使える……って、遺跡でゴミ扱いされている自称古代兵器に懐かれた。え? 誰この美少女。僕にご奉仕したい!?

向原 行人

第1章 ゴミスキルと古代兵器

第1話 ゴミスキルを授かった少年は、家の恥だと勘当される

「なっ!? か、カーティス。何だ、そのスキルは! 何人も賢者を排出しているルイス家の長男だというのに、授かったのがゴミスキルだと!? ……この恥さらしめっ! 出て行け! お前など勘当だっ!」


 人は、十六歳の誕生日を迎えると、スキルという一生を左右するような能力を神様から授かる。

 僕もその例に漏れず、突然知らない声が聞こえ、「ゴミ」スキルというのを授かった。

 普通は、「石拾い」スキル――石を投げようと思った時に、丁度良いサイズの石がすぐ見つかる――みたいな、使えないスキルの事をゴミスキルって呼ぶと思う。

 だけど僕が授かったのは、それにも劣る、そのままズバリ「ゴミ」っていうスキルだった。

 ゴミスキルの効果? そんなの知らないよ。調べようという気すら起きない。


「ぷぷっ……兄貴。親父から聞いたぜ。何でも、物凄いゴミスキルを授かって、家を追い出される事になったんだって? どんなスキルなんだよ。ぷっ……教えてくれよ」

「……うるさい」

「おいおい、拗ねるなよー。第一、いずれこうなる事は分かってただろ? 兄貴は魔法を使用する為の魔法力が、バカみたいに沢山あるけど、それだけ。一方の俺は、賢者の家系に相応しい、強力な攻撃魔法を使える訳だしな」


 父親に勘当を言い渡されて荷物を纏めている所へ、弟のジェームズが近寄って来たかと思うと、ニヤニヤしながら見下してくる。

 だが、こいつは昔からこういう奴だ。

 相手にすると疲れるだけなので、無視して荷造りを進めていると、


「おいおい。その真銀の杖をどうする気なんだ?」

「……これは僕が幼い頃から使っている杖だ。だから持って行く」

「はぁ!? ふざけんなよ! 勘当されたお前なんて、そこら辺に落ちてるゴミみたいな木の枝で十分だろ。どうせ、大した魔法を使えないんだからな」

「ジェームズ。僕が家から追い出されるのは事実だが、僕の思い出の品まで奪う権利は……」

「あるぜ! 兄貴が家から追放された時点で、このルイス家の次期領主は俺だ! 情けで服ぐらいは恵んでやるが、その杖はダメだ! これは、ルイス家の次期領主としての命令だ!」


 ジェームズが、僕の愛用していた杖を強引に奪おうと腕を伸ばしてきたので、


「何がルイス家の次期領主としての命令だ! 調子に乗るなっ!」


 その手をはたき、着替えと僅かばかりのお金を鞄に詰めて、自分の部屋を出る。


「……調子に乗っているのは、どっちだ。兄貴……いや、カーティス。自分の立場をわきまえさせてやるよ」


 背後からジェームズの声が聞こえてくるけど、僕はそれを無視して家を出た。

 ……母が生きて居れば、僕は庇ってもらえたのだろうか。

 いや、無い物ねだりをしても意味は無い。

 ここからは、ルイス家の長男ではなく、一人の人間カーティスとして生きていくんだ!

 そう思いながら、先ずは生計を立てる為に冒険者ギルドへ向かうと、


「あの、カーティスさん。残念ながら、貴方は当ギルドを利用出来ません」


 受付の女性から変な事を言われた。


「何故ですか? 冒険者ギルドは、十六歳でスキルを授かった者であれば、誰でも登録可能のはずですよね?」

「はい。本来はそうなのですが、その……ルイス家から、カーティスさんをギルドに登録させるなと……」


 なっ……父さんがそこまでするのか!? それとも、ジェームズが!?

 驚く僕を前に女性が言葉を続け、


「えっと、魔道士ギルドや商人ギルド……どうやら、この街にあるギルドは全て同じ事が言われているようです。こんな事を言うのは心苦しいのですが、出来れば街を出られた方が良いかと」

「そ、そうですか。あの、教えてくれて、ありがとうございます」

「……が、頑張ってくださいね」


 更なる事実を知らされる。

 そして、その話が事実であると言わんばかりに、


「すまないね。ルイス家から、カーティスさんには利用させるなって言われていてね」

「申し訳ありません。ルイス家から、カーティスさんに食事を提供するなと……」


 隣街行きの乗合馬車に乗車拒否され、街の宿や食堂からも利用を断られてしまった。

 ここまでするのか……と、失意の中で街を徒歩で出て、街道を西に向かって歩いて行く。

 馬車で行けば一日で隣街へ着くのだが、徒歩では道半ばで陽が落ちてきた。

 しかも、昼食もとっていないし、食べ物なども何も持っていない。

 夜は魔物が活発化するし、せめて安全に寝られる場所だけでも確保しようと、周囲を見渡しながら歩いていると、


『こっちです。こっちへ来てください』


 何かに呼ばれている気がして……ボロボロの廃墟のような物を見つけた。

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