4
傷も塞がる頃、俺は歩く練習を始めた。
人間達はそんな俺を見てリハビリ、リハビリと呪文を唱えるが、全く意味を生してはいない。
殆どは俺が嫌いな男が監視役を務めているので、俺は一刻も早く治ってやろうと躍起になった。
「リハビリを始めて一週間で、もうこんなに歩けるようになったぞ!」
「先生が、補助をするとよく歩きますよね」
「なんだ、俺が好きなのか??いっそウチの子になるか?」
「ダメですよ、拾われた方が治療費まで出して下さっているんですからね!あ、噂をすれば。どうぞ」
あと、たまにくる人間のオスがいる。
その人は俺の頭をぐちゃぐちゃにはしないが、声が少しデカいのが気になるところだ。
それともう一つ気になるところがある。
「
この人間も俺に周三と言う事。
周三とは一体何なんだろう・・・
「大丈夫ですよ。このままいけばすぐ退院できます」
「良かったなぁ周三!!本当に良かった・・・あの、先生。大家さんと話し合ったんですけどやっぱり難しいみたいで・・・どうにかコイツを幸せにしてやりたいんです!だけど・・・」
「愛護団体を頼るのはどうでしょう?譲渡会で理解のある方が見つかるかもしれませんし、もし見つからなければ私が責任もって世話をしますから、どうかそんなに思い詰めないで下さい」
「ありがとうございます先生、俺も最後まで探してみます!」
早く、一刻も早くここから出て俺はまた野生で生きていくんだ!
そろそろ走ったりジャンプの練習も始めたいところだ、案外三本足でも大丈夫なんじゃないか?
絶対に生き抜いて寿命を全うしてやるぞーー!!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます