第82話 6の月から
◇◇◇
5の月の魔法演習の授業で、グレース先生が、6の月から魔物討伐の実習が始まりますと言われた。騎士科・魔術科のAクラス同士、Bクラス同士でパーティーを組むんだって。
「皆さん、今から各グループで話し合って、グループを2つに分けてもらいます。属性がなるべく被らないように……5名いるグループは2・3に分かれて、決まったら担任に報告してください」
3名になった所は、後で先生が調整して2名ずつのペアにするそうです。
「それと、魔物討伐の実習が始まるまでに冒険者登録をしておくように。移動は学園の馬車を使いますが、念の為に冒険者カードを所持してもらいます」
ああ、私達は未成年だからか……身分証代わりですね。
「私達のグループは2名ずつね。皆の属性は……ミハエル様が風、ミアは火がメインで『水魔法』も使えて、アリスが風と回復で、私が水と風……」
『風魔法』が3人もいる。被らないようにするには、ソフィア様を『水魔法』として考えた方が良いのかな?
「ミハエル様、騎士科の方とパーティーを組むことになるので、ミハエル様と私は離れた方が良いですわね」
「そうだね。ミアとアリスがペアになると、困ることがあるかも知れないからね」
そっか、庶民のミアと私だと、パーティーを組んだ騎士科の生徒に何も言えないかも……同級生でも初対面の貴族だし。ということで、ソフィア様とミハエル様が分かれることになった。
ソフィア様は『水魔法』と『風魔法』が使えるから、ミア(火)と私(風)なら、どちらとペアになっても問題ないけど、ミハエル様と私だと『風魔法』が被ってしまう。
――結果、ソフィア様と私、ミハエル様とミアのペアになった。
「ソフィア様、よろしくお願いします」
「ええ、アリス。頑張りましょうね」
◇
「テオ、6の月から魔物討伐の実習が始まるんだって。日帰りの実習だけど、何時に終わるか分からないの。あっ、これが6の月からの時間割だよ」
学園で配られた時間割をテオに見せた。
――――――――――――――――
魔術科3年6の月 ・「午前」 /・「午後」
火の曜日・魔法の演習(競技場)/・座学
風の曜日・魔物討伐の実習(日帰り)
土の曜日・魔法の演習(競技場)/・座学
水の曜日・魔物討伐の実習(日帰り)
闇の曜日・研究サークル(参加自由)
光の曜日・休み
――――――――――――――――
「騎士科とパーティーを組むのか。アリス、変な奴がいたら言うんだぞ!」
「アリスが意地悪されたら、俺がやっつけるから……」
「ふふ、テオもタロウも大丈夫だよ。ソフィア様も一緒だからね」
テオに、6の月からは実習が始まるから迎えはいらないと断った。テオ達とダンジョンに行くようになって、戦い方も学んだからね。悪い奴をゴブリンやオークだと思えば戦える。
◇◇◇
月末、フランチェ先生から、6の月から始まる『魔物討伐の実習』の説明があった。
パーティーは騎士科3名と魔術科2名の5人で組むんだけど、パーティーのリーダーは騎士科から選ばれるそうです。騎士科のリーダーと魔術科の2名が固定で、騎士科は人数が多いからリーダー以外の2名が週ごとに変わるんだって。
魔術科とパーティーを組まない騎士科の生徒は、(騎士科でもロレンツ様やユーゴみたいに魔法を使える生徒がいるから)騎士科だけでパーティーを組むそうです。
「では、騎士科のリーダーの名前と、そのパーティーに入る生徒の名前を読み上げます――」
ミハエル様とミアのパーティーリーダーは、タイラー・バートン様と言う方だった。ソフィア様が子爵家の方だと教えてくれる。
「最後、騎士科のロレンツ・アーノルドのパーティーには、ソフィア・ラミレスとアリス。以上です」
えっ、ロレンツ様? 嬉しい~!
「まあ、アリス、私達のパーティーリーダーはロレンツ様ですって。ふふ」
「はい! ロレンツ様がリーダーだったら心強いですね」
私たち以外にも、年少科の時に一緒だったグループのメンバーがリーダーになっているパーティーがあって、喜んでいる声が聞こえる。全く知らない人とパーティーを組むより、知っている人の方が良いよね。
「いいな~。私もロレンツ様が良かった。ユーゴでも良いのに……」
「ミア、ユーゴは騎士科のCクラスだから、『魔物討伐の実習』の授業はなくて、警備兵としての実施訓練が始まるって聞いたよ」
「ユーゴのクラスは、ダンジョンには行かないんだ~」
ユーゴのいる騎士科Cクラスは、警備兵の研修が始まって、問題がなければ卒業後そのまま警備兵として採用される。
騎士を希望する生徒は、剣技大会でしか騎士団にアプローチするしかないってミハエル様が教えてくれた。
「では、グループに分かれて、来週から始まる『魔物討伐の実習』で必要な物の確認と、ダンジョンで出て来る魔物の注意点を再度確認してください。あっ、皆さん、冒険者ギルドへの登録は済みましたか?」
「「「はい」」」
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