明日から
「仲いいな、お前ら」
『「良くない！！」』
これで仲いいとか、お前の目は節穴か？？
……………………仲良くはなりたいけどさぁ、闇命君が寄り添ってくれないんだもん！！ 俺は悪くないもん！！！
『……………………話、進めて』
「はいはい。とりあえず、靖弥の話は今度時間を空けてから聞くとしようか。今すぐはさすがにみんな疲れていると思うし。それまで、靖弥の服について考えよう。俺達と行動してもらうには、目立たない格好をしてほしい」
「今後、マジで一緒に行動するつもりか？」
「え？ うん」
まだ、警戒されてた……。俺達は靖弥に酷いことしないから、本当にそこは信じてよぉ。
『もしかして、この期に及んでまだ自由な生活が欲しいとか思ってたりするの？ それは本当にありえないんだけど。逃げられないように足をそぎ落としてやろうか』
「わかったわかった！！ 靖弥が嫌いなのはわかったから！！ そんな怖いこと言わないで！？ 一回口を閉じて！！」
ほらぁぁぁぁあ！！！ 靖弥がまた後ろに下がったじゃん！！ せっかく少しずつ近寄ってきてくれていたのに！！！
借りてきた猫みたいに震えてるよ。こんな靖弥、現代でも見た事がない。
「そんなことしないから安心して靖弥！！ ほら、こっち戻ってきて！！」
「……………………」
「闇命君のせいだからねぇぇぇえええ！！！ 話が進まないのは闇命君のせいだよ！！！！」
「ほう、闇命様のせいにするか。琴平が居ないからと油断したな優夏よ、今後はワタシが許さないぞ」
「スイマセンデシタ」
紅音の低い声、後ろから圧。やらかした、油断した。闇命狂が居るところで大きな声で叫んでしまった…………。
「ゴホンゲホン！！！ えぇぇぇぇぇえっと！！！！ 何がいいいいいたいのかかかかな、靖弥」
「……………………俺の事は、どこかの陰陽寮の地下などに閉じ込めておけばいいだろ。一緒に行動する意味はなんだ」
え、意味って……。そんなの決まってるじゃん。
「一緒に居たいから」
「…………は？」
「ん？ 友人と一緒に居たいから。さっきから言っているだろ、靖弥は俺の大事な友人なんだよ。だから一緒に居たいし、行動したい。俺の事を疑うのはいいけど、今主導権を握っているのも俺だぞ。俺の言う通りに行動しろ」
胸を張って言うと、靖弥は口をパクパクと動かすだけ。何か言いたげだけど、言葉が出てこないって感じか。
「ひとまず！！！！ これからは俺と一緒に行動は絶対。そのために服を探す。旅についての説明！！ 体を休めて出発！！ 以上！！！」
☆
たんぽぽ畑で少し遊んだ後、陰陽寮に戻り部屋の中で体を休めている。
「うへぇぇぇ、疲れたぁ」
『畳に寝っ転がって変な声を出さないでくれない？ 何回も言っているけど、それは僕のからっ――はぁぁぁあ。もういい…………』
俺のだらけている姿を、紅音と夏楓が目をキラキラさせながら見ている姿を見て、闇命君が何も言わなくなった。
二人に弱いよね、いつも。というか、こんなだらけた姿でも目を輝かせてくれるんだ、さすが闇命狂。
「それにしても、休むって具体的に何をすればいいんだろう。今までいろんなことがあり過ぎて、休み方を忘れた」
『今十分休むに該当している姿だと思うんだけど、それ以上に休むって何？』
「なんか、こう。趣味をしたり、お出かけしたり。あとは…………なんだろう」
『やれば？』
「…………は？」
『行けばいいでしょ。ここからなら少し馬車を走らせれば反物屋や団子屋くらいならあるんじゃない？』
あー、なるほど。確かに買い物とかなら気も休められるし、楽しめる。靖弥の服も買えるし、一石二鳥かな。
「よし、買い物に行こう」
『明日ね。今日は寝ろ、体を休めろ。僕の身体が扱いやすいからって調子に乗るな。疲れは蓄積されているはずなんだ。今は寝っ転がっていていいから、体を休むことをしろ』
「…………はい」
闇命君に言われ、今日は部屋で固い空気が流れているのは気にせず、ふざけながら話していた。
頑張ったよ、俺。重い空気を何とか明るくするように、頑張ったよ。精神すり減りました。
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