第13話



それは籠の中とは限らない。

ただの動く床であることだってある。


動きは非常に不安定である。

ほとんどは立っていられなくなるくらいのスピードで昇降する。

そう思ったら全く動かない時もある。


行先も定まっていない。

何もない屋上にしか行けないこともあれば

地下の奥深く深くを目指して中々止まらないこともある。

時には上下だけでなく左右に動くこともある。


やっと止まったかと思えば、

そこは指定した目的地ではないということがザラにある。

1度で希望した場所に着くことはない。

何回も目的地を指定して移動を繰り替えす。


ようやく到着した目的のフロア。

そこは廃墟であった。


気が付けば、様々なお店が軒を連ねていた筈の建物全体が

廃墟と化していた。


なんだこれは。エレベーターってこういうものだっただろうか。

目が覚めた私はいつもこう思わされる。


私の夢にこの動く床は頻繁に現れる。

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