二百二十三話 仲間の捜索21

「見えませんか?」



勝ち誇りながら、ラーバは

横を指差す。

動きの止められた長老は

その方向に目を移した。



「!?」



「私の部下達ですよ。」



長老の見た霧の中には

何やら気味の悪い姿を

したモンスター達が一メートル程の

謎の鉄板を抱えて立っていた。



「ほら、あちらにも、後ろにも。」



気がつけば、長老はその謎の

モンスター達に包囲されてしまって

いた。



「なんじゃ......あのモンスター達は......」



「モンスター? ふふっ! まあ

あの姿はモンスターですね。

ですが、あれ。全部元は

人間ですよ。」



ラーバの恐ろしい発言に

流石の長老も顔色を変える。



「あと、ちなみに彼らがもっている

あれは私の呪術を高める物です。

なので、先程私の呪術を解いた

あなたにですら、今かかっている

呪術は決して解けませんよ。」



「......」



「いやしかし、あなたには

お礼を言わなければなりませんね。

先程私を殴り飛ばしていただいて。」



「それはどういう意味じゃ。」



「いやね。あそこには私の

天敵がいましてね。あの

人間と戦っても私には

勝ち目ないんですよ。」



「天敵? ......それは隼人君のことかの。」



「そう! その隼人という人間とは

もう私、二度と敵対したくないん

です。」



「......では、何故わし達の前に自分から

現れたんじゃ。」



「まあ、それは実験体が欲しかった

という理由と、あなた方を分散させ

ようとしていたのですよ。

しかし、やはりあの人間は油断

ならない。まさか、見つかるとわ。

......少し喋りすぎましたね。」



そう言ってラーバはごほんごほんと

咳き込み、気を取り直す。



「そろそろいいですか。あなたは

そこにいるモンスターのような

下等な生物になってもらうのは

もったいない。なので、私の

物となってもらいましょう。」



「......」



何も抵抗することのできない

長老に、ラーバはじりじりと

距離を詰める。



「叫んでも無駄ですよ。

あの隼人という人間と他二人の

人間は今、私の部下と

戦っておられると思いますので。」



「!? まだ、他に仲間がおったのか。」



「ええ。とっておきの。

私の私物が......」

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