二百九話 仲間の捜索7

「と、とりあえず! 我々は

これより進路を変え、呪覆島を

目指す! 到着までしばらくあるが、

後程各々の隊員達に経緯を

話しておくように! 以上だ。」



隼人との約束を守るため、

これ以上隼人の話題を掘り下げ

ないように、タチアナは半ば強引に

会議を打ち切った。



「はーい。」



ルドルフは能天気に返事をし、

長老もよっこいしょと椅子から

立ち上がる。

しかし、中にはなにやらぶつぶつ

言っている魔法使いや、

まだ話の途中なのに......

と肩を落としている回復魔法士が

いたのだった。

















「胸毛がな......」



「ピピピィッ!」



「え? 人間には誰にも胸毛は

あるんだからもういいだろって?

いやでもな......あの時は一仕事

終えた後で疲れてたから余計にな......」



ぼけーっとそんなことを口にしながら

俺はペルーと一緒に海を眺めていた。

すると



「は、隼人!」



「おお、タチアナ。どうした?

そんな血相変えて。」



「す、すまない......先ほどまで

隊長達で会議をしていた

のだが、その会議中に隼人の

ことが話題にあがってな......

その時に隼人のレベルが

皆にバレてしまったんだ。」



「え......な、なんで?」



「隼人、ヨーテルの前で

高レベルにしか扱えない

魔法を使っただろ?

それを皆の前でヨーテルが

話して、サーマクリフエント

ロマナーニがえらく食い付いて

しまってな......」



「ま、マジでか......」



「で、でもレベル800以上だと

いうことしかまだ......」



「いや、それでも結構ヤバイだろ......」



俺の冷や汗をかいている様子を

見て、タチアナはしゅんと

落ち込む。



「すまない......私がもう少し

気をつけていれば......」



「......そんな顔しなくていいよ。

元はと言えば俺が迂闊に

人の前で魔法を使ったのが

悪かったんだ。タチアナは

悪くねぇよ。」



俺はそう言って励ますように

ぽんぽんとタチアナの肩を叩く。

それを見ていたペルーも

タチアナの反対側の肩を羽で

叩いた。

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