二百四話 仲間の捜索2

【船内 会議室】



隼人が海を眺め、ペルーとくだらない

ことを話していた頃。

タチアナを含む計五人の隊長達が

今後の方針を決めるため

会議をしていた。



「まずは皆に迷惑をかけて

しまったことをここで謝罪して

おきたい。本当に申し訳なかった。」



「ほんとですよー。僕大変だ──」



「うっさい、あんたは黙って。」



「ふぇ~......」



ルドルフがここぞとばかりに

頑張ったアピールをしようと

したが、ヨーテルの圧で

黙りこむ。



「タチアナちゃんがジュラ島で

迷子になってしまったのは

仕方がないことじゃ。

寧ろわしの方が謝罪をしたい。

お主達が危険な時に何もしてやれん

かった。すまぬ。」



「もー、反省会じゃないんだから

長老もタチアナも謝罪なんか

しないでよ。」



「そ、そうですよ。それに

こうやってまた皆さんが無事に

集結できたんですから。」



「サーマクリフエントロマナーニ。

あの三人のこと忘れてるわよ。」



「い、いえ! 別に私は

カクバさん達のことを忘れていた

わけではなく......」



「ま、いてもいなくても変わらない

回復魔法士には他のメンバーの

ことなんて頭に入ってないですよね~。」



「ルドルフ......」



「そんな怖い顔しないで

くださいよ、タチアナ隊長。

冗談に決まってるじゃない

ですか~。」



「それが冗談のつもりならあんたの

頭、脳みそじゃなくて

糞でも詰まってるんじゃないの?」



「ひ、ひどいこと言うな~

ヨーテルさん。」




冷ややかな目がルドルフに

集中するが、ルドルフは

さほど気にしていないようで

のほほんとしている。




「まあ、そんなことよりも

今後の方針を話し合う

為に集まったんでしょ?

僕の頭の中身なんてどうでも

いいじゃないですか。

さ、本題に移りましょう。」



「......はぁ、そうだな。

とりあえずまず第一に我々

隊長が決めなければならない

のは次にどの島に向かうか

なのだが......」



「今はジュラ島に戻ってるんでしょ?

その後、どの島に行くのかを

決めるの?」



「そうだ。」



「はぁ、また私が浮遊魔法を

使わなきゃいけないのね......。」



「ジュラ島には今私の捜索を

してくれているカクバ達が

いるのだろ? ならばもう一度

あの島に行く必要がある。」



タチアナのその言葉を聞いて

更に憂鬱な表情をヨーテルは

浮かべる。



「すまない......考えてみれば

私は君の魔法に頼りすぎているな。

だが、ここはヨーテル。

君の力が必要なのだ。」



「......まあ、わかったわよ。」



「ありがとう。」



そうお礼を言っていよいよ、

その後どの島に向かうかを

話し合おうとしたが、

ここで長老が手を上げた。



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