百二十四話 一方地上では11

「......まだ鼻に臭いが残っている

のだよ。」



「ハハッ! 香ばしい匂いだろ?」



「う○この臭いなのだよ。」



「ハハハッ! そりゃ尻から

出たからな!」



「今、俺はお前を無性に殺したいのだよ。」



「そう言うなって!」



「はぁ......だが、鬼灯。

助かったのだよ。お前の活躍が

無かったら俺達は全滅

していたかもしれない。」



「......バーゼンに誉められても......

全然──」



「船に戻ったらタチアナがいつも愛用

しているバスタオルを──」



「いる!」



「お前らな......」



本人がいないところで勝手に

交渉をする二人にやや呆れながらも、

カクバは先ほど倒した三体の化け物

の死体を確認する。



「そういえば、結局こいつら

一体なんだったんだ? やっぱ、

人間の頭をしてるってことは......

つまり......おい! 聞いてんのか!」




問いかけに全く返事がない二人に、

まだアホな会話してるのかと

後ろを振り返ったカクバは驚嘆した。



「お、お前ら!」



煙。



どろどろ人間から噴き出していた

煙とはまた別の煙が、バーゼンと

鬼灯の口から漏れだしている。



「おい! しっかりしろ! これって......」



倒れた二人に駆け寄り、カクバは

その煙に見覚えがあることに気がつく。



「......まさか......」












「いやー、お久しぶりですねー。」



二人を介護するカクバの後ろで

そいつの声がする。



なんで、あいつが......



カクバはゆっくりと後ろを振り向く。



「カクバ君。」



やはり、そいつはいた。





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