百二十三話 一方地上では10

「......」



その者は無慈悲に小刀をカクバに

届かない程度で更に、頭部を突き刺す。




「エォオォオオ!」



どろどろ人間の悲鳴が森に響き渡る。



そして、目から光が無くなった

どろどろ人間から、ゆっくり小刀を

抜き出し、鞘にしまう。




「......はぁ......」



その者はどろどろ人間を倒し終わると、

だらしなく眠っているカクバに近寄り



ペチペチ



と容赦無く頬を叩きまくる。



「いってっ!! や、止めろ!」



カクバはたまらず、眠りから覚めた。



「だ、誰だって......鬼灯か......」



「......おっは。」



「なんで、俺こんなとこで......あ!

あんっのやろう! どこいった!」



「もう......倒した......」



鬼灯はどろどろ人間の死体を

指差す。



「マジか。よく倒せたな、鬼灯。

どうやったんだ?」



「あの......キモいモンスターが現れた

時に......ばれないように......分身してた。

さっきまで戦ってたの......その分身。

あのどろどろが油断した時に......

木の上からひと突き......おけ?」



「お、おけ。な、なんか......

ひっでえな......さすが盗賊だな......」



「カクバに誉められても......全然......

嬉しくない。」




「んでだよ! てか誉めてねぇよ!

......そういえば、バーゼンはどこだよ。」



「......あそこ。」



鬼灯は今度は地面で伸びてるバーゼンを

指差す。



「んだよ、バーゼンも眠らされた

のかよ。ったく......帝国精鋭隊が

聞いて呆れるぜ。」




「......それカクバ言えない。」



「うっせ! あ、いいこと思いついた。」



「......何?」



「まあ、そこで見とけって!」



カクバは変ににやにやしながら言うと、

眠るバーゼンに近付き、バーゼンの

顔に尻を向ける。



そして






「あ、くっさ!!!」



カクバが屁をこいてから、

バーゼンが目を覚ますのに

一秒もかからなかった。





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