百一話 エレディア村7
「で、タチアナ。これから
どうする?」
「そうだな......一刻も早く、
討伐軍に帰還したいところだが......」
「まあ、とりあえずはこの
村から地上に出ることが
最優先だな。」
「しかし、私ももうろうとした
状態だったからあまり、はっきりとは
覚えていないが、我々は
相当深くまで落ちたぞ。
ここから地上に戻る手段など
あるのか?」
「......でも、ここでじっと
していても始まらないし、
気分転換がてら、この村の
調査でもするか。
そしたら上に戻る方法も
見つかるかもしれないし。」
「そう......だな。」
「地上に戻る方法?
そんなもんないな~。」
俺達は村のことについて知るためには
ばっちゃんを尋ねた方が早いとふんで、
真っ先にばっちゃんの家に行ったのだが
得られた返答はこれだった。
「ないんですか!?」
「ないな~、バフ、説明してやれ~。」
「この村は何千年も前から
地上と隔離されたこの地下にある。」
「え、でもそれじゃ、食糧とかは?」
「食糧はほとんどが地下で育つ作物と
魚だ。お兄さん達みたいにたまに
あの湖で地上の大きな生き物が
死体で採れる時がある。
それで大体の食糧は得られる。
水も川からひいてきたり、
湧水からくんできたりできるから
地上に出る必要がない。
第一、地上に上がろうにも
地上は高すぎて上がる手段がない。
この村の千年の歴史からも、
地上に行った者など一人もいないんだ。」
「ま、マジですか......」
「すまないな......力になれなくて。」
「いえ......」
こうなったらペルーに頼るか......
そう考えていると隣に座っていた
タチアナが口を開いた。
「ところで、この部屋には
多くの壁画が飾ってあるが......
これは魔族ではないのか?」
「魔族~? なんだ~そりゃ?」
タチアナの言う通り、部屋には
いくつもの壁画が飾られてある。
その壁画には全てあるものが描かれ
ていた。
「お嬢さんたちがこれを魔族
というのかは知らないが、俺達
エレディア村の民はこれを
人魚と呼ぶ。」
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