八十三話 ジュラ島9

「すごい、すごーーい!!」



「全く、やっぱり長老は化け物ね。」



テイルははしゃぎ、ヨーテルは

とある老人の強さに

呆れていた。



「そりゃそりゃそらゃそらゃ──」



アルナの持ってきたリンゴ、計450個を

右手左手を交互に巧みに使い、

空飛ぶ機械獣に投げる。



そのリンゴの球速、なんと時速300キロ。

加えてバーゼンの射撃をかわした、

機械獣に対して正確に当てていく。



球速300キロのリンゴをくらい、

防戦一方の機械獣が、

むしろ哀れに見えてくるほどだった。



「......まいったの......」



しかし、その勢いも長くは続かなかった。




「リンゴ......無くなってしまったわい。」



「それなら他のもの投げれば

いいじゃない。」



「そうじゃな。他に何か

丸いものなかったかの?」



「食料庫にあった食材はリンゴ、人参、

レタス、大根、キュウリ、お肉、お魚、

サツマイモ、トウモロコシ、ネギ、みそ、

お米、ブロッコリー、あとは香辛料が

少し......」




「まいったの......丸いもので無ければ、

上手くやつに当てられんのじゃが......」


すると長老がどの食材にするか真剣に

悩んでいたお陰でようやく反撃できる

ようになった機械獣は先程同様、

銃口を構えながら船に接近する。



「不味いわよ! あいつ、何か

してこようとしてるわ!」



「......やっぱ......レタスかの......」



「長老聞いてるの!?」



「来てる、来てる! 死んじゃうよ!」



あたふたしているヨーテル達に

容赦なく機械獣は発砲しようと

したその時。












「バーゼン!」




「わかっているのだよ。さあ、早く!」



バーゼンが使用している大型の銃の上に

カクバが乗る。



「ぅううおおおおああああ!!」



バーゼンはそんな声を放って、

カクバが乗っている大型の銃を力一杯

上に振り上げる。



「行くぞっオラあああ!!」



カクバはその反動を受け、空高く

飛び上がった。

船を攻撃しようとしている機械獣めがけて。

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