八十一話 ジュラ島7

隼人達が、分離し上空を飛行した機械獣の

射撃を受け、しばらくたった頃。



【島の端 上空】



「ちょっと、大丈夫なの? あいつら。

銃声がしてから何も聞こえなくなった

けど。ねぇー、長老どう思う?」



杖にまたがり、ふわふわ空に

浮くヨーテルが言った。




「...ふむ。少々不安じゃの......やはり、

わしらもついていくべきじゃったか......」



「それなら今からでも遅くないわ。」



「しかし、ヨーテルちゃんが加勢に

行っては、この船が墜落してしまう。」



「それについては心配いらないわ。

この船ごと接近するから。」



「それはいくらなんでも危険じゃよ。」




「大丈夫よ。案外あいつらが幹部を

かたずけた後かもしれないし。

そしたらあいつらがわざわざ歩いて戻って

来なくてもすむでしょ?」



そう言って長老の忠告を軽くみた

ヨーテルは島の奥へと船を進めた。














隼人達に向け射撃をした、機械獣は

砂煙の舞う上空を巡回していた。




「魔力成分感知」



しかし、ヨーテル達が乗っている

船が感知可能な範囲に接近したため、

標的を隼人達からヨーテルらに変更し、

飛び立ってしまった。











「おい! みんな! 無事か!」



砂煙がようやく落ち着き、辺りが

ぼんやりと確認できるように

なった頃、カクバの大きな声がする。



「無事なのだよ。」



既に砂煙の中、仲間を七人発見し、

じっと待機していたバーゼンが

その声に返答する。



「......こっちも。」



「私も大丈夫です。」




「僕もでーす。」



この討伐に参加した隊長や職業者達が

続々と集まってくる。



「あ! 大変! 怪我してる。直ぐに

治しますね。」



中には腕や足を撃ち抜かれ負傷して

いたものがいたが、サッちゃんの

ヒールで復活していく。



重傷者がほとんどいないのは

隼人が周りにヒールをかけたから

だろう。




「しっかし、えれぇめにあったな。」



「全くなのだよ。」



「そういえば、あの謎の物体二体とも

いなくなってるんですど、どこ行ったん

ですかね?」




「そういえば......そうだな.......なんでだ?」



「も、もしかしたら、今度は船を

襲撃しに行ったのかも!」



「っ!!」



負傷者を完治させたサッちゃんの

言葉に皆がはっとする。



「おい! 急ぐぞお前ら!!!」






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